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大動脈弁狭窄症の診断が遅れたのはなぜか

82歳 男性
2004年12月22日

82歳の父についての相談です。
平成16年5月に大腸癌の手術を致しました。それから1ヵ月後に退院しましたが、同年7月から、息が荒くなり食欲もなく痩せていく状態に陥りました。退院後も同病院への定期検査に通っておりましたが、その間、特に異常は告げられませんでしたが、体調は思わしくなく過ごしました。症状は悪くなるばかりで、同年11月にさらに症状が悪化したため、自分の判断で同病院へ行き、そのまま再入院致しました。
検査の結果、病名を「大動脈弁狭窄症」と告げられ、同年12月に手術を受けました。担当の医師は早く手術を受けた方が良い、とおっしゃいましたので、本人は随分と悩みましたが手術に踏み切りました。
その後、ICUから一般病棟へ移りましたが、心不全を起こし、2日後に再手術をおこないました。現在、ICUで酸素吸入、人工心肺を受け、麻酔で眠っておりますが、容態は安心できる状態ではありません。

そこで質問なのですが、担当の医師は「大動脈弁狭窄症の末期」と診断されたのですが、なぜこんな時期になるまでわからなかったのか、疑問です。
本人は5月に大腸ガン手術のために、MRI、心電図、レントゲン、血液検査、尿検査、その他手術のためにしなければならない検査を受けているのに、なぜ気付かなかったのでしょうか。
また、「大動脈弁狭窄症」が高齢者に多く発症するのであれば、病状をみた時点で心臓等の検査を重点的になぜ行わなかったのでしょうか。

回答

大動脈弁狭窄は心臓の聴診によって、まず、疑われるものですが、高齢者では弁狭窄がなくても、動脈硬化のために心雑音を呈する場合が多いので、これは専門家でなければ、診断が難しいことがあります。心電図、X線写真検査では、疑うことができる場合があるというにとどまります。心雑音があっても、高齢者にしばしばみられる無害性の心雑音とみなされるために、診断はエコー検査をしなければわからないという担当医の考えは肯けます。
動脈硬化性の大動脈弁狭窄は高齢にともなって生じ、かつ進行していきます。一方、大動脈弁狭窄症は心不全といった症状が出始めると、短い期間に急速に重症化するというのが特徴です。お父様の場合は、大腸ガンなどの経過中に、貧血といった引き金になるものがあって、症状が発現し、急速に進行したものではないでしょうか。

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