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13歳の大動脈弁狭窄症の手術適応

13歳 女性
2004年1月13日

13歳の娘についてご相談します。
先天性で、年に2回検査をしていますが、小学卒業後の受診で、心臓肥大、ST低下がみられ、運動制限を一段階あげられました。

ST低下の意味がわかりません。
そんなに悪いものなのでしょうか?本人はいたって普通です。

これからの生活は、やはり運動制限が必要なのでしょうか?子供も大きくなって、やりたい事を我慢するより、たとえ命が短くなっても、やりたい事をしたいと言います。親としてとても辛いことです。

回答

心電図波形は通常(図1)のようになっています。心臓の筋肉が肥大があったり、冠状動脈が狭くなったりするとSTの線が(図2)のように下がったり上がったりします。
大動脈弁狭窄症はチューブに入った糊(ノリ)に例えられます。チューブに入った糊は買いたての時は少し押すとすぐ出ます。フタを取ったままにして置くと、糊が出口で固まり、ギューッと握って圧力をたくさんかけないと出ません。
大動脈弁狭窄症は出口に糊の塊が出来たのと同じで、左心室の筋肉が力一杯圧力をかけないと血流が左心室から大動脈→体の方に出ません。1分間に80?100回も心臓は収縮を繰り返しますが、強い力を出すために、左心室の筋肉がお相撲さんのように太って(肥大)しまいます。
狭い大動脈弁から血液を大動脈に出すために左心室には高い圧力(150?200mmHg)がかかり、大動脈の圧は低く(100?120mmHg)なります。この左心室の圧と大動脈の圧の差が大きければ大きい程、例えば、圧差が100の方が圧差が50より病気は重いということになります。
これは心エコー法で分かります。この圧差を3ヶ月?6ヶ月くらいに一度、心エコーでみてもらうと病気の進み具合が分かります。あまり進まないようなら今の運動制限でよく、進行するようなら運動制限を強くします。
そして、圧差が70mmHg以上になったらカテーテル検査と心臓血管造影と行って、それをよく検討して、必要なら人工弁の置換をします。最近の人工弁や生体弁はかなり良くなっています。人工弁置換をした多くの人達は運動選手にはなれませんが、普通の人と同じか90%の生活をしています。
ですから使えるまで自分の弁を使い左心室大動脈の圧差が大きくなったら人工弁・生体弁置換をすれば命を短くせず普通に生活することが出来ます。
患者さんを力づけてあげてください。医学は進歩しています。

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