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心房中隔欠損のカテーテル治療は穴の位置により不可能なのか

4歳 女性
2006年5月28日

生後1ヵ月で、心房中隔欠損の診断を受けました。カテーテル検査の結果、2センチほどの大きな穴が開いていて、もれている血の量は2.1倍ということでした。現在4歳で、まもなく手術の予定です。

新しく始まったカテーテル治療は、負担が少ないと聞き、もしできれば、と思っていました。
しかし、カテーテル検査の結果、穴の片側にはほとんど壁が無い状態で、栓をひっかけるところが無いのでカテーテル治療は不可能と思われると主治医から言われました。
やはり、無理なのでしょうか。手術を前にして、どうしてもカテーテル治療への未練が残っています。

回答

カテーテル治療が、導入され、保険適応も認められるようになりました。このため、手術で治すか、カテーテル治療を行うかで、迷う患者さんが少なくありません。カテーテル治療を希望される方も少なくありませんが、今回の患者さんのように、心房中隔欠損のタイプによっては、カテーテル治療が、行えない場合があります。デバイス(閉鎖器具)を固定する部分が無いと非常に難しくなります。
また、カテーテル治療は、入院が短く、痛みなどの負担も少なく、良い方法ですが、比較的新しい方法ですので、術後の長期経過が明らかでありませんし、デバイス(閉鎖器具)が一生体に残ることになります。

心房中隔欠損は、小欠損の場合、一生症状が無く、治療を必要としない場合もあります。しかし、こちらの場合には、中等度以上の欠損孔ですので、子どもの頃に症状がなくとも、成人後、あるいは中年以降に動悸、息切れなどの症状を認め、寿命も一般の人と比べると短いとされています。一方、子どものうちに治しておくと、将来的な症状(動悸など)も非常に少なく、概ね、一般の人と同様の生活を送れると考えられます。そのため、子どもの一生を考えた場合、治療に伴う苦痛(御本人も御家族も)があっても、子どものうちに治しておくことが、非常に大切です。
子どもは、大人に比べ、痛みに強く、ストレスを感じることも少なく、手術には、結構、楽に耐えられることが多いものです。手術は、1950年代前半から行われており、成功率は非常に高いものです。術後の長期経過も明らかです。また、手術の傷は残りますが、多くの人は、それを引け目に感じることなく生活しています。子どもの頃の苦労を誇りに思う人も少なくありません。それ以外、運動、結婚、就職なども他の一般の人と同様です。

このように、心臓の手術は、手術の時は大変ですし、不安ですが、手術後の経過が、明らかで、手術が終わった後は、心臓について気にかけて生活していく必要がありません。ですから、カテーテル治療ではなく、手術を行うことを希望される患者さんも少なくありません。また、今回のように、カテーテル治療を希望されても、カテーテル治療ができずに、手術を行うことになった患者さんも、何人か知っていますが、どの患者さんも、手術後、後悔することなく、楽しく生活を送っています。

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