疾患別解説

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エプスタイン奇形の手術

2ヵ月 女性
2006年5月27日

先日生まれた娘について、相談させてください。生後まもなくチアノーゼが出て、肺動脈閉鎖、エプスタイン奇形と診断され、生後1週間でスターンズ手術をしました。担当医の話では、反回神経麻痺の症状はあるが、手足を動かしているから元気で、声が少しずつ出るようになったのは良いこと、ミルクはしばらくは経管で、心カテの結果は人工血管は詰まっていないとのことです。

現在、2ヵ月です。薬は、フロベン、メチコバール、フェノバール、ガスター、インクレミンシロップを服用しています。
1)これらの薬の副作用で障害が残りませんか。
2)息を吸うとヒューヒューと音がし、陥没呼吸の症状がまだ少しあります。反回神経麻痺は完全には治らないのでしょうか。
3)グレン手術ができないことはあるのですか。
4)近い将来不整脈が出ることがありますか。
5)心カテの結果人工血管は詰まっていないことがわかったのですが、他にわかることはないのですか。
6)先生が忙しそうで、納得するまで説明を聞くことができません。看護士さんに伝言を頼んでも返事がありません。これからのことが不安です。転院するのに紹介状は必要ですか。

回答

スターンズ手術を行った、肺動脈閉鎖を伴うエプスタイン奇形は、この疾患の中でもかなり重症の部類に入る状態です。最終手術(グレン手術、フォンタン手術と進むことを目標とします)まで、いろいろな症状が残りますので、赤ちゃんのころから、子供を育てることにご苦労が多いことと思います。また、このような状態のお子さんは、発育が一般よりも大分遅れますので、(身長体重などは、最終手術がすんで、小学校の頃には他の子供と同じ程度になります)、自分のお子さんを、他のお子さんと比較せずに、がんばって育ててください。

1)現在飲んでいる薬剤は、特に副作用の強い薬剤ではありませんので、副作用による障害が残る可能性は低いと思います。
2)息を吸うとヒューヒューと音がし、陥没呼吸の症状が残るとのことですが、この病気は、三尖弁の逆流が強く、右心房が大きいため、肺の発育が十分ではないことが少なくありません。反回神経麻痺の影響もあると思いますが、この両者のため、呼吸器の症状を伴います。特に、秋から冬、風邪を引きますと悪化することがありますので、注意が必要です。反回神経麻痺は、少し時間はかかりますが、徐々に軽くなることが多いと思います。
3)グレン手術は、右心室を使うことなく、静脈の血液を、直接、肺動脈へ流します。したがって、肺血管の血圧、血管抵抗が高いとうまく流れません。肺血管の発育、肺動脈圧、肺血管抵抗値を見て、これらの値が高い場合、十分でない場合は、できないこともあります。このため、カテーテル検査を行い、チェックをしてゆきます。
4)不整脈の特殊経路を持つことが多い(WPW症候群)ことと右心房に負荷のかかる疾患ですので、将来的にも、頻拍、不整脈は大きな問題となることが少なくありません。小さい頃は、さほど多くはありませんが、特に、小児期後半から、成人となると、不整脈の治療を必要とする人が多くなります。
5)心カテは、心内の血圧、形態、機能などを見ます。人工血管の開通の程度、心室機能、形態、弁逆流の程度、肺血管の発育、肺動脈圧、肺血管抵抗値等を見ることができます。しかし、手術後の時期、子どもの状態、次の手術の準備として行うか等により、調べる内容が異なる場合があります。これ以外にも、不整脈が問題な場合は、カテーテルで、不整脈の検査を行うこともあります。血管が狭い場合は、カテーテルで治すこともあります。

6)遠慮せず、病気について、疑問点を医療スタッフに、どしどし質問することが大切です。外科医が難しい場合、小児循環器科医に聞いても良いと思います。しかし、どうしても、納得できないときは、他の病院を紹介してもらうことが良い場合があります。その場合は、手術をしてもらったことに気後れせず、病院を紹介してもらうことが大切です。転院ではなくとも、セカンドオピニオンとして紹介された病院で、病気について、説明を聞くことも良いかもしれません。ただ、初めて診察する場合、情報は必要ですので、紹介状はあったほうが良いと思います。

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