疾患別解説

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肥大型心筋症の遺伝

12歳 女性
2006年5月10日

12歳の娘が、中学校の入学時の健康診断で測定した心電図に異常があったため、精密検査を受けました。
その結果、特発性肥大型心筋症およびWPW症候群という診断を受けました。
担当医のお話では、非閉塞性心筋症なので、現在は激しい運動を避けるように注意し、定期的に検診を受けてくださいということでした。本人に自覚症状がなく、非閉塞型ということで、薬などの処方はいただいておりません。
先生のお話のなかで、遺伝性に関するものがあり、私どもの家系で突然死した者がいないかどうかの質問がありました。
私も妻も特に持病はありませんが、私の母は早くに家族を失い、祖父に育てられたと聞いています。しかし、母は痴呆症が進んでいて家族についての質問に答えられる状況にありません。遺伝が原因かどうかを突き止める、染色体検査のようなものはあるのでしょうか。

回答

お子様が特発性肥大型心筋症との診断を受けられたこと、激しい運動を避け定期的な検診が薦められたこと、また遺伝性について尋ねられ心配が出てきたとのことですが、さぞかしご心配のことと思います。 
肥大型心筋症は心臓の筋肉、心筋が肥大・肥厚する疾患で、心エコー図や遺伝子学の発達とともにこの病気の本体が随分明らかになってまいりました。現在、肥大型心筋症の有病者は500人に1人位いるのではないかと考えられています。それくらい一般的な心筋疾患として受けとめられています。したがって、過剰に神経質になる必要はないと考えられます。ただし、本疾患は心筋が肥大・肥厚することから「通常より随分と硬い心臓」となり、頻脈への対応能力が弱いと考えられています。そのことから若年者の心臓突然死の原因疾患として注目されているのは事実です。適切な経過観察が必要でしょう。またWPW症候群などの合併もしやすいことがよく知られております。
従って、お子様は過剰な頻脈には弱い心臓をお持ちであるということを十分自覚される必要があります。定期的な健康管理やハートチェックを受けられることをお薦めいたします。WPW症候群につきましては、ドキドキ感を伴う頻脈発作が現れるようであれば、すぐに循環器専門医にご相談されればよいかと思います。WPW症候群の根治術が今日確立しています。
次に、遺伝の問題ですが、肥大型心筋症の約半数には心筋細胞の収縮蛋白から膜蛋白に至る遺伝子異常が見つかります。この遺伝素因は今日大分解明されてまいりました。したがって、既知の遺伝子異常があるかどうかについては、遺伝子解析が可能な医療機関であれば、解答を出してくれます。ご相談されたらいかがでしょう。但し、お子様に遺伝性が確認されても肥大型心筋症になりやすい体質である位にお考えになり、過剰に神経質になる必要はありません。遺伝相談にて、確かな情報に基づいた適切な対応を指導して頂いたら如何でしょう。

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