疾患別解説

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重症僧帽弁膜症手術後の意識回復

73歳 女性
2005年5月11日

73歳の母が、子供の頃にかかったリウマチ熱の影響で弁膜症になり、ぎりぎりまで我慢してから受診したため、むくみがひどく、かなり重症と診断されました。機械弁の弁置換手術をしましたが、術後直後から10日経った今も発熱しています。薬を入れるといったんは37度台までは下がりますが、すぐまた38度後半くらいまであがってしまいます。
未だに人工呼吸器もはずせず、自力で心臓も動かせないので体力温存のため、ずっと薬で眠らされています。しかし、すでに10日以上も状態が変わらないのでさすがに不安になり、主治医に説明を求めたところ、数値的には少しずつは回復しているという説明を受けました。
先日腸炎を起こしたということで薬にて治療しました。昨日は、腎臓の機能が低下したということで、透析をしていました。これは多臓器不全の兆候ではないのでしょうか。
私たちが見ると、少しずつ衰弱していっているように見えるのでとても不安です。一番気になるのはやはり熱が下がらないことです。原因として考えられることは何でしょうか。
次に気になるのは薬でずっと眠らされていることでの脳への影響です。
ご意見をお聞かせいただきたいと思います。

回答

お母様の病状はかなり重篤であると思います。僧帽弁膜症でむくみの出る程度までになりますと、手術の成績はかなり落ちますし、さらに年齢が70歳を越えると、それだけでも若干リスクは加算されます。一般的には日本全国で僧帽弁置換術の成績は死亡率3%前後ですが、このような状況の時にはもっと高いだろうと思います。
現在の患者さんの状況は、記載して頂いた症状だけでは正確な判断を申し上げるのは困難ですが、一般にこのような状態で手術した場合には感染に対する抵抗も落ちると思います。それというのもこの病気の場合、手術をしても心臓からの血液の拍出量は急には回復しないからでもあります。透析が必要になったというのは、手術前の腎臓機能が正常であったとすれば、やはり心拍出量の不足による腎臓機能の低下が考えられ、多臓器不全の兆候である可能性は十分有り得ると思います。
また薬で眠らせているからといって脳に悪影響が出ることはまず考えなくても良いと思いますが、手術後に一度も意識が戻っていないとすれば、これは手術そのものが、脳に障害を残していることも考えられ、回復が難しい可能性もあります。手術後、一度意識が戻ったかどうかというのは、今後の予後を考える上で非常に重要なポイントですので、担当医に尋ねてみられてもよいかと思います。

いずれにしても非常に重篤な状況であるだけに、患者さんを診察することなしにこれ以上具体的なことを申し上げるのは難しいと思います。何よりも担当医から詳しく状況をお聞きになるのが第一であろうと思います。

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