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術後に切れたワイヤーは放置しておいて大丈夫か

60歳 男性
2003年9月26日

60歳の父のことで相談いたします。心臓のすぐ上に大動脈瘤が見つかり、すでに6.5cmを越えていたので、5か月ほど前に、人工心肺を使ったバイパス手術を受けました。瘤の近くにもうひとつ小さな動脈瘤があるとの診断で、10?15cmほど人工血管に置き換え、手術は8時間近くにおよびました。
術後の経過のことでアドバイスをお願いいたします。

手術は成功したのですが、肺の回復が遅れているとの理由で術後1週間ほどICUに入り、個室に戻ってからも管類がなかなか取れませんでした。普通より痰の量が多く、自力で排出するのがかなり困難なようでした。

結局1ヶ月半ほど入院したのですが、退院後、初の診療時に肋骨を留めている3カ所のワイヤーのうち2カ所が切れていると診断されました。
その後もなかなか骨がくっつかず、痛みがひどかったので、ワイヤーを留め直す再手術をお願いしたのですが、もう少し様子を見るよう言われ続けてきました。

最近になり、ようやく骨が落ち着き、痛みも減ってきたのですが、切れたワイヤーをそのままにしておくのが不安です。
断絶箇所は内臓に触れるような場所ではないとのことですが、このまま放っておいて大丈夫でしょうか。
またこれは医療ミスではないのかとの疑念も拭えないのですが、再手術の場合はやはりこちらが費用を負担することになるのでしょうか。

回答

お父様のことでお答え致します

お父様の受けられた手術は普通の心臓の手術とは違って、胸腔にまで手術侵襲が及ぶことが多いので、肺にも触れることが多く、普通の心臓手術の場合よりも術後痰の出ることが多くなりやすいのです。

痰がなかなか排出できない場合には吸引して取ることもありますが、どうしても咳をよくしますので、そのために胸骨を留めてあるワイヤーが切れることは決して稀ではありません。ワイヤーはステンレス製で、普通の場合でもそのまま置いておくので、内臓に触れるような場所ではないのであれば放置しておいて問題はありません。

これは医療ミスという種類のものではまったくありません。今の状態であるとおそらく再手術の必要はないと思いますが、もしも再手術が必要になれば健康保険でまかなわれます。自己負担分についてはやはり負担していただかなければなりません。

参考までに申しあげますが、たとえばお子さんの場合、手術をした後に成長とともにワイヤーが切れてそのまま残るというのはよくあることです。心配される必要はありません。

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