疾患別解説

疾患別の解説と過去の相談事例がご覧いただけます。

拡張型心筋症の運動許容量

32歳 男性
2009年1月27日

健康診断で心電図異常、X線で心臓が大きいとの指摘があり、エコー、CT、心筋生検、シンチ他の検査後、特発性拡張型心筋症と診断されました。駆出率20%以下、心臓は倍くらいの大きさだったと思います。
退院後、どれほど運動ができるかを検査するため、自転車こぎにてメッツの測定をし、2.8メッツとの結果でした。
趣味でサーフィンをするのですが、療法士は休みながらであれば運動したほうが良い、主治医はサーフィンはやめるべき、と意見が分かれております。
あるレポートでサーフィンは3メッツとありましたが、これは程度によるとは思っております。
個人的には自覚症状もなく、できればサーフィンをしたいと思っています。
この病気でこれほど症状がないことはあるのでしょうか。
また予後の推測、今後の生活での制限、運動などアドバイスをよろしくお願いします。

回答

特発性拡張型心筋症(DCM)の30代男性からのご相談です。
駆出率(EF)が20%以下で、左室拡張も著明でありながら、自覚症状はほとんどないとのことですが、現在の服薬が始まって、かなり改善しているのではありませんか?
拡張型心筋症(DCM)の患者さんでも、初期にはほとんど心不全症状を呈さないという方は結構あるように思います。やはり心機能の低下のスピードが問題ですので、主治医と密接に連絡をとることが肝要と思います。

拡張型心筋症(DCM)と運動療法の関係は以前より随分研究が進歩しており、かつては運動厳禁で安静が重要視された時代もありましたが、今は適度の運動をするほうがよいことがわかっており、日本循環器学会の慢性心不全治療ガイドラインでもそのように定められています。
さて、その程度ですが、運動負荷試験(エルゴメーターかドレッドミルなどで運動をしつつ呼気ガス分析を行う)で求められるanaerobicthreshold(AT;嫌気性閾値)レベルの運動がよいとされており、それは最大運動量の60%?80%程度にあたるとされています。
お手紙では、最大運動量が2.8メッツであったと受けとれるように書いてありますが、もしそうなら、3メッツのサーフィンは最大量に近く、やめたほうがよいのではないかと考えます。
現在、拡張型心筋症(DCM)に対する運動療法/処方は健保で認められておりますので、通院中のドクターにたずねてみられてはいかがでしょうか。

この回答はお役に立ちましたか?

病気の症状には個人差があります。
あなたの病気のご相談もぜひお聞かせください。

高齢者の心臓病 高齢者の心臓病
CLOSE
ご寄付のお願い