疾患別解説

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リスモダン服用中に妊娠・出産は可能か

28歳 女性
2004年12月19日

14年前、睡眠中に発作が起き、うなり声を聞きつけた両親が救急車を呼び、病院に搬送されました。丸1日たってから意識が回復しましたが、1ヶ月の入院期間中は発作が起きなかったため、その時点ではまったく原因がわからず「脳波に異常が出ている」という診断で、その後退院しました。半年後に再度睡眠中に発作が起き、搬送先の病院で心臓に原因があると診断され、専門医のいる病院に移されました。その際、カテーテル検査を行い、心室性頻拍症と診断されました。
当初からリスモダンRを飲んでいて、初めは1日2回3錠ずつでしたが、現在は1日2回1錠ずつ飲んでいます。
その後、結婚を機に転院し、今は2ヶ月に1度、心電図検査と処方箋をもらいに病院に行きます。前の先生はリスモダンRを服用して妊娠・出産した方もいるので大丈夫と前向きでしたが、今の先生は妊娠・出産のリスクが大きすぎると反対のため、私もいまひとつ踏み切れずにいます。
薬をやめて妊娠・出産するのは私のリスクが大きすぎるので主人も同意してくれません。でも子どもが大好きな私には諦めきれず、友人の出産祝いを贈るたびに嬉しい気持ちと切ない気持ちが交錯しています。そのことで余計、心臓に負担がかかっているのか、ここのところ、睡眠時にうなり声を上げていると主人に言われました。
リスモダンRを飲み続けて妊娠・出産された方はいらっしゃるのでしょうか?どうすれば私や赤ちゃんの負担が少なく出産できますか。

回答

心室頻拍と診断され、現在リスモダンR錠を一日2回各一錠服薬中と伺いました。ここで確認をしたいことがあります。心室頻拍の発作が夜間睡眠中に発症するとのことですが、日中には発作がないかどうかを確認したいのです。すなわち、この不整脈が夜間睡眠中に発生する特徴を有することを確認したいのです。もしそうならば、同じ心室頻拍発作でも、夜間発症を特徴とする特殊な病気を考えなくてはならないからです。たとえばQT延長症候群、ブルガダ症候群などを考慮しなくてはなりません。もし、このような病名であれば、リスモダンという抗不整脈薬を使用することはお勧めできません。
女性であること、年齢を考慮すると、QT延長症候群である可能性が高いと考えます。診断は、心電図にてなされるものであり、注意深い観察により、多くの場合診断可能となります。再度、専門医の診断を仰ぐべきと言えます。
次の問題ですが、リスモダンR錠を服用しながら妊娠出産をしてよいかという問題です。リスモダンの妊婦への投与について、米国の規制当局(Foodand Drug Administration;FDA)の勧告では、「妊婦における臨床成績が欠如していて、動物では胎児に対する危険性を有するか成績が欠如している薬剤」にランクされ、使用してよいとはいいにくい薬剤です。しかし、この薬剤しか効果がない不整脈患者さんでは、服用を継続し、妊娠・出産をすることもあります。この場合は、リスモダンが陣痛誘発作用を有することを考慮しなくてはなりません。
ご相談の文脈からは、リスモダンがうまく効いていないように思われますので、この点についても再度ご相談をされるべきと考えます。
現在、重要なことは、どうして心室頻拍という重篤(じゅうとく)な不整脈が発生するかという問題です。正しい診断ができなければ、適切な治療ができないからです。
最後になりますが、妊娠出産を希望されるならば、どのようなタイプの心室頻拍であるかにもよりますが、カテーテルアブレーションにより根治できるものがあります。
もしそうならば、薬物を使用しなくてもよくなります。再度、専門施設でのご相談を受けることをお勧め致します。

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