疾患別解説

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マルファン症候群による動脈解離術後の経過と遺伝について

37歳 男性
2006年12月20日

先日、主人がマルファン症候群による解離性大動脈瘤(上行大動脈から足に付け根までの解離と上行大動脈の拡大)、大動脈弁閉鎖不全で緊急手術いたしました。医師からの詳しい説明を聞かずに退院してしまい、予後や今後の経過について不安で相談させていただきます。
とりあえず術後一ヶ月経ち、職場復帰を許されました。次回は一ヶ月後の受診予定ですが、血液検査と聴診器をあてる、という検査のみと思われます。
今後の経過について、また現在2歳の子どもや将来第2子を出産した場合の遺伝の可能性、夫婦生活などについてのリスクなどを教えてください。

回答

大きな手術を無事に乗り越えられて本当によろしゅうございました。マルファン症候群は先天性の遺伝疾患で、ご主人のように大血管、心臓弁の病気を合併するだけでなく、骨格や目、その他の障害も起こしうる遺伝病です。しかし、マルファン症候群の合併症の重症度は、ごく軽症のものから重症まで様々であり、また重症の合併症の発症もある程度予防できるようになってきました。
まずご主人についてのご質問にお答えします。職場復帰の許可が出たということですので、手術後順調に経過しておられることと理解します。今後最も大事なことは大動脈解離の再発を防ぎ、手術した血管の拡張を防ぐことです。そのためには血圧を下げておくことが非常に大事です。定期的に病院を受診されて血圧のコントロールが十分であるかどうかを確認し、また当分一年に1?2回はCTなどの検査も受けて動脈の状態を診てもらうことが必要です。循環器内科や心臓血管外科が設置されている病院なら問題なく治療と経過観察をしていただけると思います。
また、血圧が非常に上がるような強い運動や労働は避けるべきですが、夫婦生活程度のことは問題ないと思います。仕事に関しましては、具体的な業務の内容を主治医に伝えて、血圧のコントロールや血管の状態に対して負担になりそうかどうか相談されることをお勧めいたします。
子どもさんについてですが、今2歳ということですので、もう少し大きくなられてから、マルファン症候群の徴候がないかどうか小児科で診てもらうことをお勧めします。子どもさんの遺伝子を調べることは、予後の判断や治療にはあまり重要でないという意見が強いようです。
マルファン症候群は遺伝性の疾患であり、片親がこの疾患患者であるとすれば子どもの半数に遺伝する可能性があります。しかし、実際に合併症が発症するかどうか、合併症が発症したとしてもどの程度の重症度になるか予測が困難です。こういうことを理解された上で、次の妊娠を望むかかどうかご夫婦で決めていただかねばなりません。ご主人が今飲んでおられる薬が妊娠や胎児に影響する可能性は小さいと思いますが、薬がわかりませんので、主治医に相談されることをお勧めします。

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