疾患別解説

疾患別の解説と過去の相談事例がご覧いただけます。

冠動脈瘤のコイル塞栓治療を受けるべきか

44歳 女性
2006年9月16日

昨年、急性心筋梗塞を起こし、左冠動脈回旋枝にステント留置術を行いました。その時に右冠動脈に冠動脈瘤があることがわかりました。その時は川崎病の後遺症かも知れないとおっしゃっていました。その後半年後のカテーテル検査で、左冠動脈前下行枝に小さい冠動脈瘤があり、その先が狭窄していることがわかりました。そこで、右冠動脈と左前下行枝に対してバイパス手術を行いました。
しかしバイパス術1年後のカテーテル検査時に、左前下行枝にあった小さな冠動脈瘤が増大していて、狭窄部も詰まっていないため、瘤に対しての処置が必要と言われました。再度の開胸術は左前下行枝の上部にあるためリスクが大きく、筒状のステント留置では適応外ということもあるが、すぐ先の狭窄部を広げてしまう可能性が強く、そうすることにより、せっかく通したバイパスをダメにし、さらにステント留置部の再狭窄という最悪の結果になりかねないため、その冠動脈瘤に対して、脳動脈瘤の処置で行うコイル塞栓術を脳外科医と協力して行う処置をとることになりました。
しかし、今回成功しても、今後また冠動脈瘤ができないとは言えないとのことです。

1)私のようなケースの場合、他によい治療法がありますか。
2)冠動脈瘤ができる原因は何なのでしょうか。(家族性高脂血症と言われています)。
3)今回行う予定の冠動脈瘤に対してのコイル塞栓術の前例、成功例はありますか。
4)もし、成功し普通の生活に戻った時に注意する点はありますか。

回答

冠動脈の動脈瘤に対してコイル塞栓術を受けるべきかどうかというご質問と理解しました。ご質問の順番に沿ってお答えします。
1)冠動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行している病院もありますが、現状では多くの病院では何もしないで変化を観察するという選択がなされていると思います。動脈瘤は自然に血栓で閉塞するか、何も起こらないか、あるいは自然に縮小することもあります。問題は、1年後に大きさが増大しているということです。破裂の心配があると考えてコイル塞栓術を薦めておられるのだろうと思いますが、どの程度増大したのでしょうか。もし軽度であれば、変化を観察していてもよいのかもしれません。私の経験では冠動脈瘤が破裂することはまれと言ってもよいと思います。どんどん大きくなれば何らかの処置が必要になるかもしれませんが。
コイル塞栓術はリスクを伴いますので経験のある施設で受けられることも考える必要があるかもしれません。他の方法は、続けて観察することのほかには、手術があります。これも経験の差により成績が異なる可能性が考えられますので、手術のリスクについて別の病院で聞いてみることも考えられます。手術が可能であれば手術のほうが確実に閉塞できます。冠動脈造影所見がわかりませんので、私の意見を申し上げることはできません。

2)川崎病もありえますが、おそらく動脈硬化により血管壁が弱くなり、血圧によって拡大してきたものと考えます。

3)成功例は症例報告的であり、少数例が報告されています。

4)動脈硬化の進展を防止するように努めることが大事です。そのためには、動脈硬化のリスク因子があればしっかり治療することが大事です。

この回答はお役に立ちましたか?

病気の症状には個人差があります。
あなたの病気のご相談もぜひお聞かせください。

高齢者の心臓病 高齢者の心臓病
CLOSE
ご寄付のお願い