疾患別解説

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軽症状の拡張型心筋症の妊娠・出産は可能か

28歳 女性
2006年7月16日

22歳の時、健康診断で不整脈があり、精密検査の結果、特発性拡張型心筋症と診断されました。現在は、心胸郭比48%、左室駆出率42%、NYHA心機能分類2です。現在まで検査以外は入院もせず、自覚症状もありません。
1年半前結婚した際、妊娠希望を伝えましたが、担当医師はあまり肯定的ではなく、同病院では同じ症例での妊娠、出産は経験がない様子でした。
薬による妊娠への作用も不明であり、母体への負担も想像がつかないため、あまり賛成しないと言われました。

大学病院で診断が確定後、引越しや仕事の都合で個人病院に転院。結婚を機に、現在、公立の総合病院に通院中です。
前の個人病院から転院したのは、出産等を考えて産婦人科と循環器科がある病院のほうがよいと思ったからです。そこでは妊娠も可能と話を聞いていました。(体力等を考えなるべく早いうちにとのことでしたが)
その時と症状や所見にはほとんど変化はないのですが、現在の担当医師は妊娠、出産に積極的ではありません。

現在、強く妊娠を希望しています。拡張型心筋症でも妊娠、出産は可能でしょうか。拡張型心筋症で、比較的軽症状の女性の出産例はあるのでしょうか。

回答

ご相談からは、受けておられる診断のように比較的軽症の拡張型心筋症が考えられます。文章の内容から判断しますと、妊娠出産は可能と考えます。私自身が関与した患者さんでもかなりの方が妊娠、出産なさいました。しかし、妊娠や出産時には心臓に負担が掛かりますので、慎重な経過観察が必要です。そのためには、ご判断のように、循環器内科と産科が併設されている病院が良いと思います。問題になる時期は妊娠末期から出産時だと考えられますが、場合によれば帝王切開などの処置が必要になるかもしれません。しかし、私の判断はお手紙をもとにしたもので、自分で診察したわけではありませんので、まず主治医とよく相談されてください。何故危険と判断されるのか具体的にお聞きください。もし主治医が積極的でなく、あなた様の希望が強いということであれば、妊娠出産時の治療を引き受けてくださる病院を探すこともひとつの方法かもしれません。大学病院などであれば引き受けてくださる可能性が高いと考えます。
血栓予防のために抗凝固薬、たとえばワーファリンを服用しておられませんか。拡張型心筋症の患者様のなかには、心臓内に血栓ができる患者様があり、抗凝固薬を服用しておられる場合があります。ワーファリンは催奇性があるとの報告がありますので、特別な対応が必要になります。

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