疾患別解説

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心房細動を伴う心房中隔欠損症の手術についての心配

34歳 男性
2003年12月 3日

34歳の夫のことでご相談申し上げます。4点あります。
1)10月以来不整脈が頻繁になり、11月の3連休前後に24時間ホルター心電図を2度行った結果、心房細動が認められたため、国立病院で詳細検査をしたところ、先天性の心房中隔欠損症であることが発見されました。孔は現在2.66cmほどで、右心房はかなり肥大しているとのことでした。肺はきれいで問題はないとのことで、カテーテル検査をしたあと、いずれ近いうちに孔を塞ぐ手術をするべきだと主治医に言われました。
現在検査のため入院している病院は循環内科が主で、手術をする場合はその段階で別の病院を紹介してくれると言ってくれています。その場合、カテーテル検査を現在の病院で済ませてから、手術のための病院に変えるべきか、それとも手術をお願いしたい病院でカテーテル検査をしたほうがいいのか、迷っております。どの時点でカテーテル検査をするべきなのか、ご助言いただければと思います。
また、手術は遅くとも1年以内がいいと勧められましたが、検査のあと、手術をするタイミングはどのぐらいがよいものでしょうか?

2)今回左下肢付け根に静脈瘤もついでに発見されました。これにより、現在血液を薄めて血栓ができないようにする点滴薬を投与しています。この点滴薬はそのうち飲み薬に変えて、また様子を見るとのことでした。ただこの発見された静脈瘤がいつごろどうしてできたのか、原因がわからないままなので、主治医は将来的にも、心房中隔の孔を塞いだあとも、血栓の発生のリスクを減らすため、一生、ワーファリンという抗凝血をは飲み続けるべきであると言われました。ワーファリンの副作用は出血しやすくなると聞いていますが、それ以外は基本的に問題は特にないと言われました。
ただ、夫は痛風もあり、その薬も今まで飲んでいて今後も飲まねばならないと思います。すると、ワーファリンを痛風の薬の併用することによる問題はあるのでしょうか?

3)夫の心臓疾患が先天性のものであるということを今回知り、本人も家族も一斉に驚いております。先天性と聞くと、やはり遺伝的な要素も入っているのではと考えてしまうのですが、夫の先天性心臓疾患が子供に遺伝する確率はどのぐらいでしょうか?そして、今後夫が手術をしたあとも、ワーファリンを飲み続けることになると、今後もし子供ができた場合、夫のワーファリンによる胎児への影響はあるのでしょうか。

4)「ポートアクセス法」という低侵襲心臓手術というのがあることを知りました。これは患者への負担をかなり軽減できるとのことで、魅力的ですが、日本では現段階ではまだ慶応大学病院でしか実施されていないと、過去の新聞記事でも読みました。また、主治医もまだあまり実証例がないので、勧めるのを躊躇するとのことでした。
このポートアクセス法という手術法は本当に慶応病院だけでしか実施されていないのでしょうか?また、どのぐらい安全で確実な手術法なのでしょうか?

回答

1)カテーテル検査は今の病院でなさっては如何でしょうか。検査の成績をすべて揃えてから、外科の病院を受診されるのが、効率的と思います。
手術のタイミングはいつでもよろしいと思います。ご家庭の条件が都合のよい時点でなさるのがよいと思います。

2)静脈瘤で心配されるのは、肺塞栓症であろうと思いますが、心房細動があるとすれば、脳塞栓を予防する意味でも抗凝血薬が勧められます。ワーファリンは痛風の薬と併用すると、作用が強まり、少しの量で効果が得られます。担当医にこのことを申し出ておいてください。

3)心房中隔欠損症は長く気付かれず、大人になってから、とくに、心房細動が出るようになってから、発見されることが多いものです。遺伝性というよりも、妊娠中にその母親が風疹に罹ったというようなことが原因になります。ワーファリンは服用しているのが母親ならば、妊娠は控えたいところですが、父親が服用している分には影響はないと思われます。

4)心房中隔欠損に対する低侵襲手術は主として手術創を小さくするという目的から行われています。従って未婚の女性に対して行われているのが普通で、ご主人のような既婚の男性に対してはあまりお薦め出来る方法ではありません。というのも心臓そのものに対する侵襲としては殆ど変わりはなく、逆にそれを行うことによるリスクは増えるからです。

ポートアクセス法を実際に行っている病院は慶応病院以外にも何ヶ所かありますが、いずれもそれほど沢山行っている訳ではありません。現在のところこれを行った為に結果がよくなかったという報告はありませんが、何しろまだ手術数が少ないので、どの程度安全であるかということを数字で申し上げることは出来ないと思います。

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