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先天性心臓病の医療費負担について

20歳 女性
2003年12月 2日

私は先天性の心臓病なのですが、先天性は医療費が負担されるみたいですがそれは成人になっても同じなのでしょうか?(毎年1回定期健診がありますが、未成年の時はお金がいりませんでした)

回答

心臓病患者が受けられる医療費の公費負担制度には、次のようなものがあります。

1)心臓手術を受ける場合は、育成医療(18歳未満まで)、更生医療(18歳以上)という国の公費負担医療制度があります。いずれも、前年の所得に応じての徴収金の負担があります。

2)手術以外の心臓病にかかわる検査、治療に関しては、小児慢性特定疾患治療研究事業助成があります。この制度は、来年度から法制化により一部自己負担が検討されていますが、現在のところは全額公費負担で患者の自己負担はありません。ただし、国の基準では、1ヶ月以上の入院見込みでないと対象になりません。東京都など自治体独自で予算を上乗せしているところでは、通院治療でも対象にしている自治体があります。
この制度は、18歳までを原則対象(18歳時点で受けている場合には20歳まで延長)としており、成人には適用されません。

3)他に、心臓病患者は、状態により身体障害者手帳の交付を受けることができます。
国の制度ではありませんが、すべての都道府県で、障害者(主に1級・2級)がかかる医療費の負担軽減を目的とした重度障害者医療費助成制度(自治体によっては、マル障、福祉医療制度などの呼称で呼んでいます)があります。この制度では、風邪や腹痛など、心臓病に直接関連していない治療費も対象になります。自治体により、自己負担や所得制限があります。

4)一部の心臓病(特発性拡張型心筋症)に限り、特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されています。ただし、所得に応じた自己負担があります。

1)と2)、および1)と3)、1)と4)は併用されています。

したがって、この方の場合には、未成年の時の検診費用が無料だったとのことですので、2)の小児慢性特定疾患治療研究事業が通院まで適用されている地域にお住まいであればこれが適用されているか、身体障害者手帳の1級(自治体によっては3級も該当)が交付されていれば、3)の重度障害者医療費助成制度(自己負担なしの自治体)が適用になっていると考えられます。

2)については20歳までで打ち切りになりますので、成人以降は、3)が適用にならないかぎり検診や内科的治療費については医療費の自己負担分をカバーする制度はありませんので、健康保険の自己負担分の医療費はかかることになります。
3)を成人になるまで自己負担なしで受けていたとすれば、それは成人後も引き続き適用になります。

なお、これらの制度はいずれも保険の効く医療費にのみ対象ですので、差額ベッド代などの保険適用外の負担については、公費負担の対象にはなりません。

住んでいる自治体によって、制度の内容や対象範囲に違いがありますので、かかっている病院のソーシャルワーカーや保健所、役所の窓口などで、具体的に受けられる制度の内容を確認されることをお勧めします。
参考:全国心臓病の子どもを守る会

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