疾患別解説

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エプシュタイン奇形と頻拍発作

44歳 女性
2003年6月 7日

30年前にカテーテル検査で、エプシュタイン奇形、心房中隔欠損(1ミリ程度)、WPW症候群、発作性上室性頻拍、心室頻拍の診断を受けました。手術の必要なしとのことで、服薬(インデラル、プロノン)のみの治療です。

一週間前の夜中より、頻脈が発生し、12時間以上止まらず、かかりつけの医院を受診しました。心電図検査で「心室頻拍」との診断で、救急車にて救急センターへ運ばれました。循環器専門医の診断では「発作性心室性頻拍」とのこと。この日は3種類目の薬で止まりました。
カテーテルアブレーションを勧められ、心肥大もあるので、エプシュタインの奇形は外科手術も念頭にと言われる。

カテーテルアブレーションを受ける決意はしましたが、日頃の自覚症状がない(発作性上室性頻拍と思われる頻拍は年に1回、数分から数時間程度、自然に止まる)ので、あえて「手術」を受けるべきか不安があります。反対に、不整脈が出てしまうことはないでしょうか。
また、WPW症候群による副伝道路の場所が、右心室の下のほうの裏で、アブレーションが成功するかどうか、かなり難しいとのこと。それでもやはり、アブレーションは受けたほうがいいでしょうか。アブレーション後に脳梗塞を起こしたケースなどの話を聞くと、怖くなります。

また、エプシュタインの奇形については、手術の必要はないと言われていたのですが、加齢とともに、必要になるケースもあるのでしょうか。こちらは、手術しないとどのような弊害があるのでしょうか。

回答

エプシュタイン奇形は右の心房と心室の間にある三尖弁という弁の一部が心室側に落ち込んでいる状態です。弁の落ち込みに伴って、心房と心室の間に副伝導路という特殊伝導路ができて、WPW症候群を形成します。WPW症候群とは、副伝導路が興奮の旋回路となって頻拍発作を起すものです。
エプシュタイン奇形があるときの副伝導路は落ち込んだ弁の直下にあるために、これを破壊するには格段の技術が必要です。
しかしながら、アブレーションができればそれに越したことはないので,一応は試みてよいと思います。
ただ、それも症状と発作の頻度を勘案した上で、ご自身が決めることです。年に一度くらいの短いものでしたら、どうしてもアブレーションしなければならないというほどのことではないかもしれません。担当医とよくご相談ください。

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