疾患別解説

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感染性心内膜炎による脳梗塞

36歳 男性
2007年11月29日

兄が先日、通勤途中に倒れ救急で運ばれました。救急医によれば感染性心内膜炎によって起きた脳梗塞とのことでした。
実は、兄は数週間前から体の不調を訴えており通院しておりました。足首のあたりが腫れ、赤い斑点(内出血)のようなものが出ていました。当初は整形外科に行きましたが、症状が改善しないため、血管外科等に行き診断しましたが、原因がわかりませんでした。胸のレントゲンは撮ったらしいのですが、エコーやCT・MR等は行っていないそうです。
いろいろ話を聞くと、心臓の菌に関してはレントゲンでは写らないとのことです。通院先の病院では、なぜそれ以上の検査を行わなかったのでしょうか。もし、原因がわかっていれば、脳梗塞を予防できたように思えるのです。

回答

先天性心疾患や弁膜疾患がある心臓には細菌がとりついて、感染性心内膜炎を起こすことがあります。その場合に、感染した組織が瘤状に増殖してそこに血栓を形成し、この一部がはがれて脳に飛び、脳梗塞を起こすことがあるわけです。
診断は容易ではありません。通常は先天性心疾患や弁膜疾患がある人において、原因不明の発熱がつづく状態があって診断がつかないようなとき、血液培養を繰り返し行い、菌が検出されたときに、はじめて診断されます。心臓のエコー検査で瘤状増殖が認められて診断が推測される場合はありますが、瘤状エコーがそのまま細菌感染を意味するものではありません。
診断ばかりでなく、治療にも極めて難儀する病気です。心臓は血液の流れを作る壁の一部であり、肝臓や腎臓などのように、薬が集まり易い臓器ではないので、血流中の薬物濃度自体を「きわめて高い濃度に常に維持」しなければならないからです。
しかし、抗生物質の進歩のおかげで、この病気は昔ほどには性質の悪いものではなくなりました。ご苦労なさっていることと思いますが、もうしばらく頑張ってください。

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