疾患別解説

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4歳でペースメーカをすすめられている

4歳 男性
2007年10月27日

現在4歳の男の子です。
心室中隔欠損症の術後より不整脈があり、カテーテル検査にて洞機能不全症候群と診断されました。
疲れやすく、汗かきで運動時に時々胸が苦しいとの訴えがありますが、少し安静にしていると落ち着きます。
主治医からは、失神やめまいが起こる状態ではないけれど、疲れやすい・多汗などの症状があり、回数は少ないが頻脈もみられているので、早いうちにペースメーカを入れたほうがいいといわれています。
幼稚園では激しい運動以外は普通に生活していますが、ペースメーカ以外に何か治療法はないのでしょうか。
また、年齢的に小さいので入れるのはまだ早いと思ってしまいますが、その点についてもいかがでしょうか。

回答

小さい年齢で、ペースメーカを入れるかどうか、非常に迷われていらっしゃることと存じます。
子どものペースメーカの装着に関しては、今のところ明らかな基準はありませんが、洞機能不全症候群は、いくつかの問題点があります。
まず、1)脈が遅い(心臓の収縮する回数が少ない)ので、体に必要な血液を十分に送り出せないこと、2)急に脈が遅くなり、頭部も含めて血液が行きにくくなり、失神などを起こす場合があること、さらに、3)反対に急に脈が速くなる場合もあること等です。

1)の場合は、脈が遅い(心臓の収縮する回数が少ない)ため、心臓は、拡大して、一回の血液の拍出量を多くしようとしますが、特に長く運動をしたりする場合に、疲れやすく、早く走れない等の症状を伴います。また、汗をかきやすいことも症状の一つです。心臓が拡大しますので、長い間この状態が続くと心臓の働きが、衰えてきます。心不全の症状を伴うようになります。

2)の場合は、突然、脈が非常に遅くなることがあります。そうすると、頭に行く血液が急激に減少しますので、めまい、失神などの症状を起こすことがあります。突然死にも結びつくことがありますので、このような症状を伴う場合は、明らかにペースメーカの適応になります。

3)反対に急に脈が速くなる場合は、心室頻拍などという脈が速くなる不整脈を伴う場合があります。この場合は、徐脈と頻脈を伴いますので、ペースメーカをいれて、抗不整脈薬を併用することもあります。ペースメーカは、失神、突然死を防ぐ意味と心不全の進行を抑える役目があります。

お子さんの場合は、疲れやすい・多汗などの症状と軽度の心不全があるようですね。
また、メプチンSP、ホクナリンテープ等は、脈を早くするために内科治療として投与しているようですね。洞機能不全症候群となってから3?4年くらいで、脈拍40前後で、日中は70ぐらいだとすれば、急に脈が遅くなる可能性は低いと思います。しかし、脈拍数は遅いので、この状態が長く続きますと、心臓の負担は大きくなると考えられます。
また、小学校高学年になると運動強度も上がってきますので、今の脈拍数ですと、心臓の負担は大きくなると思われます。洞機能不全症候群が進行した場合は、現在の医学では、ペースメーカが第一選択になります。残念ながら、薬剤治療は、補助的な役割(心不全治療も含む)になります。
ペースメーカを入れる時期ですが、徐脈の症状が強くなる場合(特に、めまい、失神)、心臓の働き(心機能)が低下してきた場合には、ペースメーカを装着したほうが、お子さんにとっては、日常生活が楽になると思われます。ですから、かわいそうと思うお気持ちもよくわかりますが、将来も長く良い状態で、生きていくことを考えますと、このような場合には、迷わず装着することが、お子さんにとって大切に思われます。
また、技術的な問題ですが、8?10歳以上になるとペースメーカのワイヤーを、大人のように静脈経由で入れることができ、その後も長く使用できるのですが、今の年齢ですと、今後の成長なども考え、心臓に直接ワイヤーをつける方法になると思います。この方法も、長く使用できるので、有効な方法です。

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