循環器病のトピックス

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野菜を一日350g食べよう!

2014年03月14日 心臓病の予防栄養(食事)
野菜を一日350g食べよう!
 
共立女子大学家政学部臨床栄養学研究室
上原誉志夫、吉永真理子
野菜と健康研究班
金子未栞、稲見満理子、栗芝飛弥香、杉山知穂、青柳仁美、山本裕子、武田明子
 
野菜とは?
食品の区分けには、6種品目分類や18種品目分類などいくつかの種類がありますが、一般的には糖尿病学会から出されている6種品目分類を使用するのが分かり易いでしょう。

それによりますと、図1 野菜とは.JPG
野菜と果物は分けて考えること、

さらに野菜には
緑黄野菜(葉が緑のものとニンジンや
ピーマンのように赤・黄色の食材)、

淡色野菜(大根や玉ねぎ、かぶなど)、きのこや海草が入りますが、
芋類や豆は別の分類になります(図1)
 


緑黄色野菜とは新鮮な野菜100g中にベータカロチンを600μg 以上含んでいるものとされます。
代表的なものとして、
にんじん、ほうれん草、パセリ、しゅんぎく、こまつな、にら、かぼちゃ、ブロッコリー、さやえんどう(注)、しその葉、アスパラガス、ピーマン、トマト
などが入ります。
     (注):鞘のある豆では、未成熟鞘のときは野菜に(さやえんどうや枝豆など)、
                          成熟鞘の場合(えんどう豆や大豆など)には豆にはいります。
 
ベータカロチンの量が600μg 以下の淡色野菜には、
なす、きゅうり、オクラ、ネギ、玉ねぎ、白菜、キャベツ、レタス、大根 
などがあります。
 
野菜には、
各種ミネラル(カルシウム、カリウム、鉄)、
ビタミン(A、B、C、D、E、K、葉酸)や
食物繊維、
色素(カロチン、イソフラボン)
が豊富に含まれ、わたくしたちの体の機能を調節する役割があります。
一方、芋・豆類は炭水化物が主な栄養素であり、体内ではエネルギー源として働きます。
また、大豆はタンパク含量が高いため、肉や魚と同じ扱いになります。
かぼちゃなども少量では野菜ですが、多くなると第一食品群 (穀物、芋、豆類)として扱います。
 
  このような含有される栄養素の違いを考慮した野菜の分類に加え、食する部位別に分ける方法もあります。しかし、この部位別分類では、野菜に含まれる栄養素含量の違いは考慮されていませんので注意しましょう。
 
1)果菜類(かさいるい):果実や種の部分
      キュウリ、ナス、ピーマン、さやえんどう、ブロッコリー、カリフラワー、そらまめ、枝豆、 
      スイートコーン、インゲン豆、小豆、ポップコーン、カボチャ、トマト、赤ピーマン
2)葉菜類(ようさいるい):葉っぱの部分
      ほうれん草、小松菜、春菊、ネギ、ニラ、キャベツ、レタス、白菜、玉ねぎ、ニンニク、らっきょう 
3)茎菜類(けいさいるい):茎の部分
      アスパラ、タケノコ 
4)根菜類(こんさいるい):根っこや地下茎(地下に成長する茎)の部分
      ゴボウ、にんじん、大根、カブ、さつまいも、じゃがいも、里芋、ショウガ、れんこん

 
野菜の健康効果と栄養素図2野菜の健康効果と栄養素.JPG
野菜には健康に役立つさまざまな栄養素が含まれます(図2)
 
その一つにカリウムがあげられます。野菜には100グラム当たり、200~400㎎のカリウムが含まれます。

日本人の食事摂基準では
カリウムは一日2.9グラムの摂取が薦められています。

高血圧症では3.5グラム(腎臓に障害がない場合)まで増やします。
 



カリウムを豊富に摂ることで、交感神経が抑制されて、体内のナトリウムが腎臓から排泄され易くなり、血圧が低下します(図3)。
図3野菜の健康効果と機序.JPG

カリウムはインスリンの効きをよくして血糖のコントロールを改善する効果もあります。
さらに、カリウムには血管内皮を保護する作用があり、これは動脈硬化や脳卒中を予防することになります。
 
最近の研究によると、野菜中の窒素酸化物が体内で血管拡張物質に変換され、血圧を抑制して動脈効果を防ぐとも言われています。

野菜には豊富な食物繊維が含まれます。日本人の食事摂取基準では男性19グラム、女性17グラム以上の摂取が薦められています。食物繊維は食塩やコレステロールの消化管での吸収を抑え、消化管の動きを改善して排便を促進します。海草に含まれる食物繊維はアルギン酸という多糖類ですが、アルギン酸は直接血管を弛緩して高血圧を抑制することも分かってきました。
さらに、野菜中のビタミンは、
ビタミンB1のようにエネルギー代謝を良くして、肥満解消や視力を回復し、
ビタミンAは皮膚の乾燥を防ぎ、血管を強くし、免疫系を高めるなどの健康効果が期待されます。
ところで、アミノ酸の一種であるホモシスチンは血管を傷つけて動脈硬化を促進し虚血性心臓病に影響しますが、葉酸はホモシスチンをメチオニンに変換するのを促し、動脈硬化を抑制することも分かってきました。実際、このように機能性成分に富む野菜を多く摂取することで、典型的な欧米食に比べて血圧を有意に低下させることが知られています。
 
 
野菜摂取の注意点!
しかし、野菜には注意すべき点もあります。野菜にはビタミンKが含まれますが、ビタミンKは心臓病で頻繁に使用される抗凝固薬であるワルファリンの効果を弱めます。ビタミンKが特に多い野菜には注意が必要です(図4)図4.JPG詳しくは主治医に相談しましょう。
同様に、腎機能が低下しているときや血液透析中の患者さんでは、カリウム摂取を一日1.5~2.5グラムまで制限する必要があり、生野菜を避ける必要もあります。野菜を煮るとゆで汁にカリウムは出ていきます。調理の工夫で野菜を食べることはできますが、詳細は主治医に相談しましょう。
また、食物繊維は消化管を動かすことから便秘の予防には効果的ですが、胃や十二指腸の潰瘍や慢性腸炎などでは腸のぜん動を抑える必要があり、食物繊維の少ない野菜を選ぶなど摂取を制限する必要も出てきますので、詳しくは主治医の指示に従うようにしましょう。
 

野菜はどのくらい摂取量するのがよいか?
それでは、一般的にどの程度の野菜を食べるのがよいのでしょうか。日本人の食事摂取基準では、一日350グラムの野菜摂取が薦められています。このうち120グラムは緑黄野菜を摂取することが薦められます。しかし、日本人の野菜の一日摂取量は現在男性285グラム、女性217グラム(厚生労働省健康栄養調査23年)ほどで、まだ100グラム程度不足しています。350グラムの野菜はおおよそ両手の平に載る量と同じと考えましょう(図5)
図5野菜の量.JPG
それだけの野菜をしっかりと摂るには、主菜や副菜として野菜を使用した料理を食すことが必要になります。朝や昼には野菜を確保することが難しい状況がありますので、夕食には必ず野菜中心の料理を入れます。これは夕食のカロリーを抑えるのにも有効ですので、献立の工夫をしましょう。

野菜350グラムでの夕食の例を示します(図6)。最近は“カット野菜”がスーパーなどで容易に手に入りますので、このようなものを利用するのも一案といえます。
 図6 野菜メニュー.JPG
 
 
 
野菜の摂取が十分ではないときには、野菜ジュースを利用する方法もあります。しかし、ジュースは加熱処理や飲み口をよくする工夫がされており、野菜摂取とは成分に若干違いがあります。時間がないときや、外出時、また体調不順時などに補充食品として利用することができますが、野菜を食することが基本になります。
ところで、果物は野菜と同様に健康成分が多く含まれますが(カリウムは2倍ほど)、最近の果物は糖度が高く、エネルギー摂取への配慮が必要です。かんきつ類のジュースでは200mL(コップ1杯)で70キロカロリーほどになります。また、グレープフルーツは降圧薬のカルシウム拮抗薬の効果を高めてしまうこともよく知られています。
 
おわりに
日本食文化では、野菜の種類が多く、野菜の調理方法も多彩で、伝統的に野菜料理が中心をなしてきました。このような食生活が、日本人が世界でも1,2位の長寿となっている要因と考えられています。今後さらに健康寿命を延ばすために、野菜の摂取量を一人当たり平均で100グラム増やす必要がありますが、1/6個のキャベツ、1/2個のトマト、ナス半分、キュウリ1本または玉ねぎ大を半分ほど摂ることで達成できます。日々気を付けることで、それほど問題なく達成できる量といえます。
日本の各種調理法を駆使して、野菜料理のレパートリーを広げ、野菜を中心とする食生活を今一度工夫してみてはいかがでしょうか。
 
Kyoritsu Women’s University Faculty of Home Economics
Division of Clinical Nutrition and Research Group of Vegetables and Health
 
Yoshio Uehara, MD, PhD, Mariko Yoshinaga NRD
Mikan Kaneko, Mariko Inami, Himika Kurishiba, Chiho Sugiyama, Hitomi Aoyagi, Hiroko Yamamoto, Akiko Takeda  
 
2014.3.14掲載
高齢者の心臓病 高齢者の心臓病
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