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一般向けメールマガジン 第218号

HEART WEB NEWS No.218

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第218号】2023年10月2日発行(月刊)
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【目次】
 トピック:高齢者の心不全の薬物治療
 イベント情報:市民公開講座「心臓弁膜症~よく知って、よりよい生活を目指す~」
 お知らせ
 ドクターのつぶやき:いい男やな
 ご寄附のお願い

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【トピック】

 高齢者の心不全の薬物治療

 日本心臓財団ホームページ掲載の「高齢者の心不全」(監修:百村伸一先生)の薬物治療の部分を改訂いたしました。一部を抜粋してご紹介します。

 薬物治療(薬による治療)は、心不全治療の基本となるものです。心不全の薬物治療の目的は大きく分けて二つあります。第一に、息切れや浮腫みなどの症状を改善すること、第二に、予後の改善、つまり心不全が悪くなって入院することを防ぎ、死亡率も下げ長生きできるようにすることで、それぞれの目的に適した薬を使う必要があります。予後を改選する薬の多くは生活の質(QOL)も改善することが知られています。

 第一の目的に最も適した薬は、利尿薬です。主に使われる利尿薬はループ利尿薬ですが、効果不十分の場合にはトルバプタンなども用いられます。
 第二の目的に用いられる薬剤としては、左室の収縮機能の低下が原因で起きる心不全では、1)ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、2)ベータ遮断薬、3)アルドステロン拮抗薬、さらに最近使えるようになった薬剤として、4)サクビトリル/バルサルタン、5)SGLT2阻害薬などがあります。これらの治療薬を使っても心不全の悪化を繰り返す場合にはベルイシグアトという薬剤も使われます。また脈が規則正しく(洞調律)かつβ遮断薬などの治療薬を用いても脈が速い場合にはイバブラジンという薬剤も用いられます。

 一方、左室の収縮機能の保持された心不全については、上記のように明らかに寿命を延ばす効果のある薬は見つかっていませんでしたが、最近になりSGLT2阻害薬がこのタイプの心不全の入院や死亡を防ぐ効果があることが明らかとなりました。心不全の症状をとるためには利尿薬が有効です。また、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、心房細動などを合併している場合には、これらの併存症の治療をしっかり行うことも重要です。

 心不全の薬物治療の効果を最大限に引き出すためにはまずきちんと薬を服薬していただくことがとても重要ですが、いずれのタイプの心不全においても高齢の患者では、薬をきちんと飲めない方や生活習慣の注意を守れない方も多くなりますので、薬剤師や看護師が介入したり、家族がこれらについてのサポートをする必要も出てきます。

 もう一つ、知っておいていただきたいのが、心不全以外の病気の治療に使われる薬が、心不全を悪化させることがあるということです。循環器以外の診療科から薬が処方されている場合は、どんな薬を飲んでいるのか、循環器の先生に知っておいてもらう必要があります。

 高齢者の心不全:心不全の薬物治療(日本心臓財団ホームページ)
 https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/12/

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【イベント情報】

 ■市民公開講座「心臓弁膜症~よく知って、よりよい生活を目指す~」

 日 時:2023年11月5日(日)14時~16時30分
 会 場:新宿NSビル(同時web配信)
 プログラム:
  講演1 「心臓弁膜症」について 泉知里(国立循環器病研究センター)
  講演2 大動脈弁狭窄症の診断と治療 森野禎浩(岩手医科大学)
  講演3 僧帽弁閉鎖不全症の診断と治療 渡邊雄介(帝京大学)
  講演4 心臓弁膜症の外科治療 岩倉具宏(榊原記念病院)
  講演5 心臓弁膜症の治療を経験して 福原斉(心臓弁膜症ネットワーク)
  パネルディスカッション 司会:磯部光章(榊原記念病院)
 主 催:榊原記念財団、日本心臓財団

 会場参加・配信お申し込みはこちら https://hvdisease.jp/

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【お知らせ】

★健康ハートウィーク2023
プログラムの一部はアーカイブでご覧になれます。
 https://www.kenko810.com/

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【ドクターのつぶやき】
 
 いい男やな

 かつて同居していた義母は、102歳で亡くなった。90歳頃までは日常生活に不自由はなく元気であった。しいて言えば、認知症が少し出ていた程度であった。コロッケが好きで、いつもコロッケコロッケと言っていたので、私は単なる母の好物と思ってよく買ってきた。しかし後に、認知症が進んでそれしか食べ物の名前が出てこないためであることに気づいた。
 その母が、生まれ故郷にある老人保健施設に入所したので、時折訪問した。ある時、妻を見て、「あんた誰や」というので、「あんたの娘です」というと、怪訝な顔をして、「私結婚しとったか」「知らん」という。そこで、枕元に置いてあった大きな義父の顔写真を見せると、やはり「そんな人知らん」という。続けて、「ええ男やな」と言ったので皆で大笑いした。

 翌年、同じようにその施設にいる母に会いに行った折、昨年と同じように、「あんた誰や」「私結婚しとったか」というので、私も、前回と同じように父の顔写真を見せた。案の定、「知らん」と言った後、「ええ男やな」とつぶやいた。全く同じことを、1年の間があったにも関わらず言った。母が父と結婚した当初、いい男やな、と思っていたのであろうことは容易に想像できた。

 認知症が進むと、現在の記憶から乏しくなって順次忘れて行くことが多いが、美しい、かっこいい、かわいい、などの原始的な感情は後あとまで残るようだ。長女が赤ん坊を抱っこしているのを見ても、かわいいね、というようなことを言った。そして、昔覚えた難しい漢字も、日記帳に書きつけていた。
 私はバカになりました。自分が誰であるか分からなくなりました。でも皆さん親切にしてくださるのでありがたいありがたい、というような記述もあった。(H.U.)

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