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一般向けメールマガジン 第199号

HEART WEB NEWS No.199

====================================================【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第199号】2022年3月1日発行(月刊)
====================================================【目次】
 トピック:3月9日は脈の日:脈の数え方
 ドクターのつぶやき:どこでもだれでも適切な心臓リハビリが受けられる
 ご寄附のお願い

====================================================【トピック】

 3月9日は脈の日:脈の数え方

 日本脳卒中協会は、3月9日が「3・9(みゃく)」と読めることから、「脈の日」と定めて、国民に脈をチェックするにより心房細動などの不整脈を早期発見し、医療機関を受診することを呼びかけています。

 そこで今回は、脈の数え方を紹介します。
 生体には脈を触れることができる箇所はいくつかあります。一番わかりやすいのが手首です。左手を開いて、掌を上に向けてみてください。親指の付け根が膨らんでいます。母指球といわれている箇所です。そのすぐ下が手首になり、右手の指(ひとさし指、中指、薬指の3本)の腹の部分でそこを探ると拍動が触れます。これが脈拍です。

 脈拍をみるときに、まず大事なのが、その数です。脈拍数は一分間にいくつ、と数えますが、普通は15秒間、数えて4倍にします。15秒間で20拍であれば、一分間で80拍になります。
 次に大事なのがリズムです。リズムは規則正しいのが普通ですが、長い時間、手首に触れていると、リズムが乱れることがあるのに、気づくことがあります。リズムの乱れを不整脈といいます。乱れがある、と気がついたら、その拍動を口に出して、口ずさんでみてください。

 トン、トン、トトッツ、トン、という乱れ方をする場合があります。トトッツというのは、最初のトンの次に、予期されるトンよりも早く、しかし、小さいトンが入って、トッツとトンがこけた感じに続きます。場合によっては、そのもう一つ次のトンは少し遅れぎみに、しかし、拍動は大きめに続きます。このような拍動の続き方は、脈が飛ぶ、と表現される期外収縮という不整脈の一つの場合です。

 トン、トッツ、ト、トン、ト、ト、トン、とまったく不規則に続く場合があります。期外収縮が頻発している場合ですが、規則性のない乱れがしばらく続く場合は、心房細動という不整脈を疑います。

 不整脈のリズムを口ずさんでみることができたら、これをメモしておいて、医療機関を受診したときに繰り返してみてください。医師は口ずさまれたリズムから、何があったのかを推測し、可能な場合には判断してくれると思います。
 また、精査する必要があれば、長時間心電図記録装置を装着してくれて、正確な診断をつけてくれるでしょう。

====================================================【ドクターのつぶやき】
 
 どこでもだれでも適切な心臓リハビリが受けられる

 この度の診療報酬改定の全容が決まった。心臓リハビリテーション(以下リハビリ)では画期的な改定となった。
 心臓リハビリが回復期リハビリ病院でも提供できる。しかも大学病院など循環器病の急性期を担う医療機関がこの回復期リハビリ機能を持ってもよいとされた。
 "え!"と絶句する御仁も多いのではなかろうか。"そんな当たり前ことが何故今まで放置されてきたのですか?"と言われそうである。全く変な話である。

 いろいろの経緯はあるが、今まで心臓リハビリは回復期リハビリ病院で由緒正しく行うことは叶わなかった。何と2年前に漸くADLが低下した循環器病患者さんにのみ、回復期リハビリ病院で心臓リハビリサービスが受けられるようにカッコつき改善が施された。しかし、その適応病名は循環器病ではない。廃用症候群と診断された患者さんのみである。
 早期に現役復帰し、社会に大いに貢献できるであろう循環器病患者さんの心臓リハビリは、急性期診療を凌ぐと、一般病棟でのそそくさとした心臓リハビリに終始していた。
 入院加療で診療群分類包括評価支払い制度(DPC)が定着するに従い、この傾向は顕著となり、無視できないどころか無視してはいけない状況になってきた。
 これでは患者さんや家族が満足する心臓リハビリは到底提供できない。医療負担や社会負担を繰り返さない再発予防や重症化予防に熱心に取り組んできた真摯な現場スタッフは忸怩たる気持ちに落ち込んでいた。終局、心臓リハビリを軽視する医療環境、医療保険システムの横行を許してしまったと。当然、この理不尽さは度々学術的に指弾され、然るべき改善策が提言されてきた。しかしその声は今までかき消されてきた。

 循環器病対策基本法の新たな成立がこのカオスを一変させた。
 リハビリは人間本来の尊厳を取り戻す医療方策である。ドイツでは基本法(憲法)に"あらゆる国民はリハビリを受ける権利がある"とキチンと謳われている。心臓リハビリは忠実にこの使命を全うしようとしている。患者さんの命を再発と重症化から守り、本来の生活に復帰できるよう支援・指導する。リスク要因を洗い出し、変えられる改善点は患者さんとともに適切に介入する。それは運動、食事、睡眠のみならず基礎疾患の疾病管理にまで及ぶ。
 例えばリハビリを必要とする循環器病成人患者さんのほぼ全員が動脈硬化症を病み、80%が高血圧、40%が糖尿病、そして20%が腎臓病を病んでいる。心臓リハビリは運動リハビリに特化していない、包括的リハビリと言われる所以である。とても急性期診療の延長上でそそくさと済ませるようなプログラム内容ではない。必要であれば家族教育まで含む。
 循環器病は本来的に生活習慣病の下流に位置する。従って多疾患有病者が圧倒的に多い。ひとつやふたつの是正ポイントで治療が完結しない。高齢者になるほどこの重複度は濃くなる。その典型例が高齢者の心不全患者である。心臓リハビリが十分でないとまたもや入退院を繰返す。新型コロナ感染の次のパンデミックは心不全と目されている。

 今回の診療報酬改定は、この不具合に大ナタを振るった。
 循環器病は予防できる。先ずは再発を防ぐことである。患者さんの尊厳が守れる。二つ目は重症化予防。医療負担や社会負担が軽減する。三つ目は発症予防である。元気な働き手を実社会はたくさん確保する。少子・超高齢社会を救う手立てである。四つ目はリスクを育てないことである。悲劇の芽を摘むための地道な社会教育、個人指導である。適切な栄養や運動、それに生活指導の普及である。この四つの段階での循環器病予防に心臓リハビリの方策は大いに貢献する。
 今回の改定が、どこでもだれでも適切な心臓リハビリが受けられる契機になると同時に、循環器病予防学の新たな展開の狼煙になることを願って止まない。(T.I.)

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