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一般向けメールマガジン 第193号

HEART WEB NEWS No.193

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第193号】2021年9月1日発行(月刊)
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【目次】
 トピック:心不全とは、こんな病気です
 イベント情報
 ドクターのつぶやき:帯状疱疹とアルツハイマー病
ご寄附のお願い

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【トピック】

 心不全とは、こんな病気です

 2021年3月28日にオンラインで実施されました第85回日本循環器学会学術集会市民公開講座で講演された心不全に関する筒井裕之先生(九州大学)と小室一成先生(東京大学)のお話を日本心臓財団ホームページ「今日のトピックス」にアップいたしました。

 ここでは、筒井先生の「心不全とは、こんな病気です」を紹介します。

 心不全は、「心臓が止まる病気」と思われがちですが、日本循環器学会と日本心不全学会では、「心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しています。こうして病気の定義をきちんと決めることは、さまざまな対策を講じていくうえでも重要です。

 「心臓が悪い」とは、心臓は血液を全身に送り出すポンプの役目をしていますが、このポンプとしてのはたらきが低下していることをいいます。
 心臓超音波(エコー)という心臓の形と動きを見ることができる検査がありますが、心不全の心臓は大きくなっており(心肥大・心拡大)、拡張して血液を取り入れたり、収縮して血液を送り出すといったポンプとしての動きも悪くなっていることがわかります。

 では、なぜポンプ機能が悪くなるのでしょうか。それには、さまざまな病気(心筋梗塞、弁膜症、不整脈、高血圧、心筋症、先天性心疾患など)が関係しています。なかでも、患者数が約4,300万人といわれる高血圧に関連する心不全は多く、日本循環器学会と日本心不全学会では、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満といった生活習慣病があれば、すでに心不全の「ステージA」に位置づけています。さらに、心肥大や心筋梗塞、心房細動などの不整脈がみられる段階を「ステージB」として、次のステージに進まないための予防・治療を呼びかけています。

 次に、「息切れやむくみ」についてですが、これらは心臓のはたらきが悪くなることによって起こる心不全の典型的な症状です。
「体が要求する血液を送り出せないために起こる症状」としては、坂道・階段での息切れ、手足が冷たい、全身倦怠感、日中の尿量・回数の減少など、「身体に血液が滞ってしまう『うっ滞』によって起こる症状」としては、むくみがあります。

 そして、「だんだん悪く」なっていきます。同じように「生命を縮める病気」にがんがありますが、がんは経過が比較的わかりやすく、患者さんは一定の経過をたどって悪化していきます。一方、心不全は、入院しても90%以上の患者さんは退院することができますが、その後、急な悪化と回復を繰り返し、徐々に悪化していきます。症状は改善しても、心不全が治ることはなく、いつ急激に悪化するかわからないため、経過の予測はきわめて困難です。

 心不全は、ならないように予防することが重要ですが、もし、なってしまったとしても、生命を縮める病気だからとガッカリせず、次のステージに進めないための予防が必要です。私たち医師も、お薬や医療機器、手術などを組み合わせて、懸命に治療をしますし、より有効性の高い新しい薬も登場しています。いろいろな治療手段がありますが、心不全にならないために、心不全を悪くしないために、まずは何よりも予防と日ごろの自己管理を心がけていただければと思います。

 くわしくは、日本心臓財団ホームページをご覧ください。
 https://www.jhf.or.jp/topics/2021/008150/

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【イベント情報】
 
 □■健康ハートの日「夏休み自由研究 ハートの応援団」動画配信

   2021年8月10日(火)に実施した内容を、Youtubeで配信しています。
   参加できなかった方、もう一度見たい方、どうぞご覧ください。
   
   https://www.youtube.com/watch?v=XTyTdcdHmnI&t=0s
   
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【ドクターのつぶやき】
 
 帯状疱疹とアルツハイマー病

 2021年6月某日、わけもなく右の奥歯が痛んだ。このとき、額に小さな水膨れがいくつもみられるのに気が付いた。体のあちこちが痛むのはいつものことだったが、小さな水疱が気になった。
 かかりつけ医にメールで相談したら、帯状疱疹ではないか、三叉神経領域なので、失明することがある、すぐに皮膚科を受診しなさい、抗ウイルス薬は早いほど、有効だが、時間が経つと効かなくなる、といわれて、心配になり、翌日、病院を受診した。

 即、入院となった。抗ウイルス薬の投与は一日2回、長時間の点滴静注で行われた。幸い、すぐに疱疹の広がりはおさまり、一旦、瞼が腫れてつぶれかけていた右眼も無事だった。間もなく軽快、退院となったのは嬉しかった。コロナ禍の中、家族と面会できない入院は大変、不便なものであることを思い知った。

 帰宅したら、自宅に松下哲先生の「認知症のブレインサイエンスとケア、アルツハイマー認知症は抗ウイルス薬で予防できる、かまくら春秋社、2021」が届いていた。
 アルツハイマーはヘルペスウイルス感染が原因であり、抗ウイルス治療で進展を防止できる、という内容であった。
 松下先生とは若かったその昔、時期は異なるが、大学の同じ寮にいた、というご縁があった。老人医療センターに長年、在職し、ご高齢の今に至っても、老人研究の活発な活動をつづけて、いつも感心し、驚かされている人であった。
 平素、物忘れに悩まされている私自身が帯状疱疹のために入院してきたばかりだったので、いつもの印象が一層、深まった。

 ヘルペスウイルス説は1982年に始まるのだそうである。抗ウイルス治療によりリスクは10分の1以下にできる、抗ウイルス治療が早く、そして長くおこなわれるほど認知機能の保持効果はよいらしい。
 私の場合、点滴治療は1週間で終わったが、これは認知症予防のためにも十分だったであろうか、と思った。それでも、抗ウイルス薬の投与は多少、プラスの意味はあったのではないか、と思って嬉しかった。

 退院して数日の間は顔面半分の痛みが出没していて、鎮痛薬に頼っていた。このためか、終日、眠たかった。物忘れはますます、進行するようであった。すると今度は、治療が十分ではなかったのかも知れない、と、低い次元の悩みで、またまた、悶々とする羽目になってきた。

 処置して頂いた皮膚科、眼科の皆さん、とりわけ、明るく励ましてくれた看護師さんたち、タイミングよくご本を下さった松下先生には心から感謝している。コロナ禍の中の入院という大変な不都合を体験させていただき、皆さんのご不便が一日も早く解消されることを願っている。お世話いただいた皆さん、有難うございました。(T.S.)

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