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一般向けメールマガジン 第148号

HEART WEB NEWS No.148

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第148号】2017年12月4日発行(月刊)
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【目次】
 トピックス:高齢者の心不全
 STOP MI(ストップ 心筋梗塞)
 AEDサスペンスドラマゲーム
 イベント情報
 ドクターのつぶやき:高齢者の運転免許更新
 ご寄附のお願い

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【トピックス】

 高齢者の心不全

 近年、生活習慣の欧米化に伴う虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)の増加や高齢化による高血圧や弁膜症の増加などにより、心不全の患者さんが急増しています。
 心不全は、さまざまな心疾患がたどる終末像であり、高齢者がもっとも気をつけなくてはいけない心臓のトラブルの一つでもあります。
 罹患者数は全国で約120万人、2030 年には130 万人に達すると推計されています。がんの罹患者数が約100万人ですから、心不全の患者さんがいかに多いかが分かります。

 さらに、心不全の罹患者率は高齢になればなるほど高くなることが知られています。米国の研究によると、50歳代での慢性心不全の発症率は1%であるのに対し、80歳以上では、10%になることが報告されています。1980年以降、高齢化の一途をたどるわが国でも、近未来的に患者数の増加が続くと予想されており、こうした状況を、感染症患者の爆発的な広がりになぞらえて「心不全パンデミック」と呼ぶこともあります。

 高齢者の心不全は、心臓移植などの根本治療が適応外であるため、根治することはありません。入退院を繰り返しながら、生活の質(Quality of Life:QOL)が低下していくため、予後は悪く、医療経済的にも大きな問題となっています。

 こうした問題に立ち向かうべく、わが国では2016年、日本心不全学会が中心となり、75歳以上の高齢心不全患者を対象にした治療指針(高齢心不全患者の治療に関するステートメント)が作られました。心不全をめぐる臨床試験の多くは、60歳台の患者を対象としていますが、75歳以上の後期高齢者に焦点をあてた診療ガイドは、世界でも初めての試みとして注目されています。

 高齢者、とくに後期高齢者では、心臓だけでなく、他にもさまざまな疾患を抱えていることが多く、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋力低下)、認知症といった特有の問題を抱えています。心不全の早期発見・治療もひとつの社会問題であり、そのため、医療機関のみならず地域全体でさまざまな職種が連携して、心不全の発症や重症化を防ぐための体制作りが急がれています。

 日本心臓財団のホームページに「高齢者の心不全」についてまとめたサイトを作りました。どうぞご一読ください。
 http://www.jhf.or.jp/heart_failure/

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【STOP MI(ストップ 心筋梗塞)】

 心筋梗塞が起こる前に、こんな症状が・・・

 心筋梗塞は、一旦発症すると致死率約40%の非常に怖い病気です。

 心筋梗塞で入院した人の院内死亡率は10%以下で、入院後の予後は良好です
が、心筋梗塞による死亡の多くは、入院する前におこります。

 そのため、心筋梗塞を一旦発症した人を助けるためには、一刻も早い救急搬
送や、AEDの活用が重要ですが、それでも救命が難しい場合も多くあり、発症を
予防することが重要です。

 幸い、心筋梗塞患者の約半数は、発症前に前兆を自覚していることが知られ
ており、この前兆の時点で治療すれば、心筋梗塞の発症を防ぐことができます。

 そこで、この前兆の存在を広く知ってもらい、前兆を感じたらすぐに病院へ
行くようにできれば、その人達が心筋梗塞を発症するのを防ぐことができます。

「胸の痛み、圧迫感、紋扼感」「胸やけ」「腕・肩・歯・あごの痛み」・・・


 *日本心臓財団は日本循環器学会が推進する心筋梗塞(MI)予防のための啓
発活動であるSTOP MIキャンペーンを支援しています。
ぜひ下記サイトをご覧になってください。
 http://stop-mi.com/

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【AEDサスペンスドラマゲーム】

 皆さん、もうやってみましたか?
 日本循環器学会と「減らせ突然死」プロジェクトが制作した、AED・心臓
マッサージを楽しく学べるサスペンスゲーム「心止村 湯けむり事件簿」。
 ある老舗の温泉旅館で倒れたひとりの男。そこからはじまる命をかけたサス
ペンスゲーム。 問題を解いていくと、自然とAEDや心臓マッサージの方法が
身につくゲーム型のウェブコンテンツです。

 AEDサスペンスドラマゲーム
 「心止村 湯けむり事件簿」
 http://aed-project.jp/suspence-drama/
 または「AEDサスペンス」で検索

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【イベント情報】

 □■東京:慈恵PUSHコース

 日 時:2017年12月9日(土)13時~14時
 場 所:慈恵会医科大学(会場は未定)
     東京都港区西新橋3-19-18
 内 容:簡単キットを使った胸骨圧迫とAEDの講習会
 参加費:無料 (どなたでも参加できます)
 詳細:http://www.atagoqq.org/event/show/155
 *当日、飛び入り参加も可能です。

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【ドクターのつぶやき】
 
 高齢者の運転免許更新

 75歳、後期高齢者となる日が近づき、運転免許の更新に認知機能検査を受けなければならなくなった。段々記憶力が衰えてきていることは自覚していたが、まだまだこの検査くらいは満点で通過できるのではないか、と思っていた。

 認知機能検査は、改正道路交通法により平成29年3月から開始されたものである。検査項目は、1)時間の見当識、2)手がかり再生、3)時計描写、の三つであり、49点未満(第1分類)は記憶力・判断力が低くなっていると判定され、免許更新には医師の認知症に該当しないという診断書が必要となる。
 1)は当日の年月日、曜日、時間を、3)は時計の文字盤を描き、指定された時刻の針を描くもので、問題はない。2)は、4つのイラストが描かれたボードを4枚見せられ、無関係な課題を行った後に、記憶しているイラストを回答するものである。そのイラストは「花」「鳥」「動物」「乗り物」などがあり、そのイラスト内容は警察庁のホームページに掲載されており、4種のイラストパターンが示されている。したがって、ちゃんと予習すれば記憶力・判断力に心配がない者(第3分類)の76点以上(10イラスト以上をヒントなく速やかに答えられればOK)は勿論、満点にも手が届くかと思えた。

 緊張もしないで試験場へ行った。両手に杖を持ったような人も来ていて驚かされたが、示されたイラストを思い出させる記憶力テストには足を掬われた。ホームページで予習をして色々なイラストが頭に残っていたが、それが仇となったのか、見たイラストの「動物」が牛だったか馬だったか、「昆虫」がトンボだったかセミだったか、頭が混乱してしまった。それに回答時間が短く(調べると3分半)、丁寧に確認しつつ答えを書いていたらタイムアウトになってしまった。満点は遙かに遠く、第3分類と判定されたものの、記憶力の低下を改めて思い知らされ、ガックリ気落ちして帰宅する羽目となった。

 警察庁から新制度開始後の約半年の現状が報告されていた。受検者の2.7%が第1分類と判定されたが、最終的に運転免許を更新しなかった(自主返納など)、できなかった、というのは3人に1人だったという。
 免許更新が高齢者にはストレスの多い作業になったが、第1分類の人の診断書を書くことは医師にとってもストレスの多い仕事である。学会や医師会の手引きはあるが、高齢者の運転の危険性をどう見極め、どう本人を納得させるか、医師の責任問題も含めて気の休まらない課題である。
 また認知症以外にも、身体能力の低下や脳心血管疾患などによるアクセルとブレーキの踏み間違い、意識消失発作など、医師が関与している場面は少なくない。不整脈やペースメーカー植込み等に関わる循環器内科医も、己の判断が有するリスクを再認識する必要があろう。我が身のハンドルさばきについても、厳しく自己評価してゆくつもりである。(T.Y.)

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