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一般向けメールマガジン 第142号

HEART WEB NEWS No.142

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第142号】2017年6月2日発行(月刊)
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【目次】
 トピックス:アシは第二の心臓~独歩が人生を豊かにする~
 血管健康くらぶ
 AEDサスペンスドラマゲーム
 ドクターのつぶやき:スキー場とグローバリズム
 ご寄附のお願い

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【トピックス】

 アシは第二の心臓~独歩が人生を豊かにする~

 先日、公益法人協会主催の「知」の交流サロンで、日本心臓財団評議員・北
里大学名誉教授の和泉徹先生がご講演されました。

 先生は北里大学病院で多くの心臓病患者さんを治療して、多くの患者さんが
退院時に自分の足で歩いて帰れなくなることに気づいたそうです。そして、そ
れはおかしいと、心臓リハビリテーション活動を強力に進めました。
 心臓リハビリというと心臓を鍛えるのかと思われますが、そうではなく、足
を主に鍛えます。それはアシが第二の心臓だからです。

 その心臓リハビリの結果、壮年者の方でも高齢者の方でも、筋力が3ヵ月で
著明に改善しました。バランスに関しては、高齢者の場合、改善に6ヵ月を要
しました。足の筋肉をトレーニングするだけでなくバランスをとることを一緒
に行うと回復力が増してくることもわかりました。
 最近、発表したデータで、虚血性心臓病の患者さん1300名を10年間追跡した
結果、その人の予後を決めたのは病気の広がりでも病気の重症度でもなく、ア
シの健康度だったことがわかったそうです。アシが第二の心臓であることがこ
れで証明されたのです。

 最近、平均寿命と健康寿命にギャップがあり、健康寿命を延ばそうと言われ
ています。では、健康寿命の終りはどこでしょうか。介護認定になったら、そ
こが健康寿命の終わりでしょうか。要支援でも、要介護状態でも元気に生活し
ておられる方がたくさんいます。健康寿命が終わりになるのは独立歩行が危う
くなった時ではないか、と和泉先生は考えています。
 片側2車線道路の横断歩道が青信号のうちに渡れなくなる、これは街でのお
買い物ができなくなったということです。食事を取りに行って食器を返すこと
ができなくなることも、人間の尊厳に関わる非常に大切な問題に抵触するよう
になったということです。そしてトイレにちゃんと行って細かい動作をして戻
って来れるかどうか。これらができなくなると独立歩行が危ういと考えます。

 和泉先生は、北里大学教授を退職後、高齢者の患者さんを対象に独立歩行で
の退院を目指したリハビリ介入、DOPPOプロジェクトに取り組んでいます。
 100人の平均年齢82歳の高齢者にDOPPOプロジェクトを行った結果、筋力もバ
ランスも歩行も著しく改善したそうです。ほとんど寝たきりになりそうなとこ
ろから始めて、40%強の患者さんが6分間で300メートル歩けるようになったと
のこと。すなわち、お買い物に行けるようになったのです。

 和泉先生は、病気をしっかり治療した上で、歩けるということに特化した形
で健康寿命を伸ばしていくことで、寿命が健康寿命に近づき、気持ちのよい生
涯を送ることができるとお話しされました。

(このご講演の詳細は、当財団のホームページ「今月のトピックス」に掲載さ
れています)

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【血管健康くらぶ】

 身体よろこぶ動画をシェアしよう!
 動脈硬化予防きっかけムービーをフェイスブックにて配信中。

 血管健康くらぶのページ
(フェイスブックをやっていなくても観ることができます)
 https://www.facebook.com/doumyakuc2/

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【AEDサスペンスドラマゲーム】

 皆さん、もうやってみましたか?
 日本循環器学会と「減らせ突然死」プロジェクトが制作した、AED・心臓マッサージを楽しく学べるサスペンスゲーム「心止村 湯けむり事件簿」。
 ある老舗の温泉旅館で倒れたひとりの男。そこからはじまる命をかけたサスペンスゲーム。 問題を解いていくと、自然とAEDや心臓マッサージの方法が身につくゲーム型のウェブコンテンツです。

 AEDサスペンスドラマゲーム
 「心止村 湯けむり事件簿」
 http://aed-project.jp/suspence-drama/
 または「AEDサスペンス」で検索

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【ドクターのつぶやき】

 スキー場とグローバリズム

 スキーを始めたのは60年近く前になる。中学に入学した年末に、学校主催の
スキースクールが野沢温泉スキー場で開かれ、数日間参加したのが始まりであ
った。
 祖父も結婚前の母を連れて訪れていたスキー場で、同じく母との結婚前に奇
しくも父も訪れていた因縁のスキー場で、宿泊先も老舗のS旅館であった。
 毎年のようにスキースクールには参加し、大学で医学部に進学してからは同
好会的なスキー部に所属した。主将を務めた時には合宿を野沢で行い、東医体
(東日本医科学生総合体育大会)が開催されたこともあった。
 野沢温泉村は大企業資本の参入を許さない立ち位置で、鄙びた村の佇まいを
維持していた。夕暮れ時の6時になると、村内の数カ所の電信柱に設置されたス
ピーカーからは、温泉劇場(S小屋)の怪しげな誘惑の案内が、風の強弱で時に
強く、弱く流れていた。

 最近になり再び春スキーに訪れた。日影ゲレンデにあったジャンプ台は無く
なっていたが、コースに変化は無く、村内の佇まいは変わらないものの多くの
外人(殆どはオーストラリア人)が訪れており、彼らが経営するペンションや
ホテルも数カ所に出現しているとのことであった。
 50年ぶりに立ち寄った飲み屋のカウンターでは、白人の外人女性が違和感な
く村に溶け込んでいた。店を経営する昔のマドンナは、糖尿病とバイパスを必
要とする冠状動脈疾患を患っており、その容姿を想い起こすには瞼を閉じなけ
ればならなかった。

 今年は更に思い立ち、5月の連休でスキー場の閉まる北海道のニセコスキー場
を訪れた。2月の極寒の時に医局スキーで良く訪れた場所であるが、今年は例年
に無く雪は少なく、アンヌプリの頂上近くのゲレンデでしか滑る場所は無かっ
たが、それなりに楽しむことは出来た。
 しかし驚いた。スキー場の中のコース案内もゴンドラの中の注意案内も全て
英語で日本語は無い。ホテルでの貸しスキー担当者も英語のみ。夕食に訪れた
居酒屋の店員曰く、ホットシーズンは9割方外人(オーストラリア人が8割)で、
店内は全て英語とのことで、オーストラリア大使館の出店のようなものもある。
チャイナタウンどころでは無いオーストラリアタウンが出現していた。
 スキー客が減少し過疎に陥った一流スキー場の存続に、やむを得ない対応で
あったのかも知れない。

 二つのスキー場は、同じようにグローバルに外人観光客を受け入れているが、
何かを失うこと無くしたたかに取り込んでいく村と、飲み込まれてしまった村
を目の当たりにして、グローバリズムの波への取り組みの難しさを感じさせた。
(H.S.)

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