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一般向けメールマガジン 第96号

HEART WEB NEWS No.96

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第96号】2013年8月1日発行(月刊)
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【目次】

TOPICS「血液をサラサラにする薬の種類と特徴」
イベント情報
 特別寄稿  和泉 徹 北里大学名誉教授/恒仁会新潟南病院総括顧問
 ご寄附のお願い
 事務局便り

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TOPICS 【血液をサラサラにする薬の種類と特徴】

 高齢化に伴い、心房細動による脳卒中(心原性脳塞栓症)が増えています。これは、心房細動が原因で心房の中にできた血栓が大動脈を通って脳動脈まで流れ、脳の血管を塞ぐことで脳に血液が行かなくなる疾患で、死亡する危険もあり、また命は助かっても、寝たきりの原因にもなります。

 心房細動による脳卒中を予防するために、血栓ができにくくなる薬(抗凝固薬)を飲むことが推奨されています。代表的な薬がワルファリンです。
 一般に血液をサラサラにする薬と言われていますが、こうした薬には大きく2種類あります。ワルファリンのような抗凝固薬と、アスピリンのような抗血小板薬です。
 アスピリンは血小板の凝集を抑制する作用があり、動脈硬化により血管内皮にできたプラークという固まりが破れて傷ついた冠動脈に血小板が集まって血管を塞ぐ心筋梗塞などの予防に用いられます。
 一方、ワルファリンは心房細動のように血液が滞る状態でできる血栓の形成を防ぐ効果があります。

 しかし、これらの薬は、血液の止血作用を阻害して、出血しやすくさせる薬を医学的に出血しない範囲で利用しているものです。
 その薬の効果があれば、血栓はできにくくなりますが、これは普通の生活を継続できるということで、効果は目に見えません。逆に効き過ぎると、出血しやすくなります。

 最近、抗凝固薬に新しい薬がいくつか登場しました。ワルファリンに比べ、食事の影響を受けず、また血中濃度の細かい観察が不要と言われています。しかし、まだ高価であることや、臨床経験が少ないことから、今後、より安全に、効果的に使用するための専門医によるデータの蓄積が必要です。

 いずれの薬も、効き過ぎると出血しやすくなるので、服用中、歯茎から血が出たり、鼻血がでやすくなったりしたら、勝手に中止せず主治医に相談しましょう。勝手に休薬することは血栓ができやすくなることもありやめましょう。
 また、夏場は脱水から血栓ができやすくなるので、水分補給に注意しましょう。

*本記事は、日本不整脈学会市民公開講座(7月7日)の新博次先生(日本医科大学多摩永山病院院長)のご講演より作成しました。

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【イベント情報】

☆8月10日は健康ハートの日
 各地で健康イベントが開催されます。お近くの方は、ぜひお越しください。

 □■「健康ハートの日 2013」(東京・新宿)

  ☆今年は8月10日の土曜日開催です。

 日 時:平成25年8月10日(土)10時~16時 ※受付は15時まで
 会 場:新宿高島屋 1階JR口 特設会場
 内 容:体験コーナー
      血圧測定、動脈硬化測定、体脂肪測定
      携帯型心電計による心電図測定
      AED(自動体外式除細動器)体験
     相談コーナー
      循環器専門医による医療・健康相談
      管理栄養士による栄養相談
 参加費:無料
 主 催:日本心臓財団


□■第14回8月10日はハートの日(豊橋)
   テーマ:がんにかからない食事

 日 時:2013年8月10日(土)8時30分~15時30分(講演会:13時~)
 会 場:ロワジールホテル豊橋
 内 容:食事・栄養相談室、救急蘇生法講習会(AEDの使い方)、
     心臓病相談室、歯周病相談室、ハートコンサート
     ハート講演会「がんにかからない食事とは」
 参加費:無料
 主 催:ハートの日実行委員会、共催:日本心臓財団、中日新聞社

 詳 細:http://heart-center.or.jp/jp/event/20130810.pdf


 □■第5回 ハートの日 in Nagoya(名古屋)
   テーマ:生きることは動くこと

 日 時:2013年8月10日(土)
 会 場:名古屋国際会議場センチュリーホール
 内 容:講演会、救急蘇生法講習会、ハートコンサート
 参加費:無料(事前応募は締切りました)
 詳 細:http://nagoya.heart-center.or.jp/


□■第5回 ハートの日 in GIFU(岐阜)
   テーマ:メタボコントロールとこころのケア

 日 時:2013年8月10日(土)11時30分~
 会 場:じゅうろくプラザ(岐阜駅前)
 内 容:栄養教室、運動教室、講演会、座談会
 参加費:無料
 詳 細:http://blog.gifu-heart.jp/2013/06/post-8690.html


□■第5回 全国PUSH!
 心肺蘇生を学ぶことの重要性を広く知っていただくために、
 健康ハートの日を記念して、各地のNPOなどと連携し、
 今年も全国一斉に各地で講習会を実施します。
 詳細は、PUSHプロジェクトホームページをご覧ください。
   http://osakalifesupport.jp/push/network.html

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特別寄稿「高齢者のアシを守る」

 私は長らく循環器病の最前線にいた。毎日、厳しい心臓救急に対応し、リスク管理の行き届いた先進医療を推進する立場にいた。
 そんなフロントに10年間も身をおくと、ひとつの疑問が湧いてきた。
「確かに主要な病変介入には標準以上の成績は遺せる。でも、患者さんのほんとうの要望に応えただろうか?」。

 そのひとつが独歩退院である。「病気(病変)は完治した。しかし歩行が怪しくなりました」。これでは話にならない。
 調査してみると入院患者の半数以上が"歩行困難で自立生活が出来ない高齢者"である。病変への対応に終始して、スピード退院するとほとんどの高齢者が独歩できないことになってしまう。これは問題だ。
 そこで、私は心臓リハビリの積極介入に"独歩退院"を掲げた。アシの筋力を高め、身体のバランスを整える心臓リハビリの普及である。リハビリの前後にしっかりとしたストレッチ体操も取り入れた。
 そして5年間の試行錯誤。成績は徐々に上がってきた。ついに高齢者の92%が独歩退院できたのである。
 その後、入院患者の高齢者比率は上昇し続けているものの、独歩退院率は維持されている。独歩を楽しんでいた高齢者が、たとえ心臓救急に出会おうと何とか独歩で帰れる循環器診療の誕生である。高齢者のアシが辛うじて守れた一瞬と言えよう。

 定年後、私は地域医療の最前線に身をおいた。そして"高齢者の独歩退院を目指す病院づくり"を始めた。
「30m歩行やトイレ歩行が怪しい」、「5秒間の片脚立ちが出来ない」高齢入院患者が対象である。実に多い。その中から週2~3人程度、参加希望者が現れている。若者たちの努力の結果、スタスタと独歩退院する高齢者も10人を超えた。
 患者さんのみならず、受け入れ家族や施設スタッフの笑顔が励みとなる。聞き分けのよい患者さんへのプレゼントである。
 課題はこの先にある。「この独歩をどうやって守っていきますか?」。
 答えは既に出ている。患者さんの自主トレと定期的リハビリチェック、それに隣人の励ましである。これがまた難しい。地域でのリハビリ維持活動が問われている、とみる。

和泉 徹
(北里大学名誉教授/恒仁会新潟南病院総括顧問)

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