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メディア・医療関係者向け
メールマガジン 第217号

HEART WEB NEWS for Media No.217

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS for Media 第217号】2023年9月1日発行(月刊)
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【目次】
 トピック:心筋炎
 お知らせ
 雑誌「心臓」8月号巻頭特集:心エコーによる最新の循環器疾患診療
 ドクターのつぶやき:歩行ガイドによる心臓リハビリ、高齢者のフレイルを克服する
 循環器病予防eラーニング講座ご案内
 ご寄附のお願い

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【トピック】

 心筋炎

 日本心臓財団のホームページ「心臓病の知識」の「心筋炎」を百村伸一先生(さいたま市民医療センター院長)ご執筆により掲載しました。抜粋してご紹介します。

 心筋炎とは心臓の筋肉の炎症による病気の総称で、心筋に炎症を生じると心臓の機能が低下し様々な不都合が生じます。
 心筋炎の原因はウイルスやばい菌による感染、薬物やワクチン、膠原病なとの全身の病気に伴うものなど様々ですが、新型コロナウイルスやコロナウイルスワクチンでも低い確率ですが心筋炎を起こすことが知られており、コロナワクチンによる心筋炎の頻度は、100万回接種当たり2~3人とされています。心筋炎の多くは急激に発症する急性心筋炎の形をとり、2~3週間で治癒しますが、重症の経過をたどる劇症型心筋炎と呼ばれるタイプもあり、また慢性化することもあります。

 ウイルスが原因の心筋炎では心筋炎を発症する1~2週間前に、悪寒・発熱・頭痛などの風邪症状を呈することがしばしばあります。吐き気や下痢などの消化器症状を伴うものもあります。発熱、頻脈もよくみられる症状です。
 心筋炎そのものに伴う症状としては胸痛があり、半数以上の症例でみられ、身体の位置や深呼吸によって痛みの程度が変わることがあります。心臓の筋肉の障害がある程度以上に広がると心臓の働きが低下するために、倦怠感、息切れ(特に動いた時)、夜間の呼吸困難、足のむくみなどの心不全症状が出現します。

 心筋のダメージの程度にもよりますが、心筋炎の急性期には多かれ少なかれ、心臓の機能が低下するため、それに対するサポートが必要となります。心筋炎と診断された場合にはまず入院のうえ厳重な経過観察が必要です。入院後は当分の間心電図や酸素飽和度のモニターを行います。軽症の場合は解熱鎮痛剤を用いる程度で特別な治療を要しない場合も多いのですが、心機能の低下に対しては"急性心不全"に対する治療が行われます。

 心筋炎の多くは予後良好で数週間で完全に治りますが、心筋炎が一度治ったように見えても慢性化してしまう場合がありますので、急性期を過ぎた後も経過観察が必要です。
 稀ではありますが、劇症型心筋炎に陥ると適切な治療が行われないときには、命にかかわることがあるので、集中的治療室での経過観察、一時的な補助循環、さらにはその後には心臓移植が必要となることもあります。

 日本心臓財団HP「心臓病の知識:心筋炎」
 https://www.jhf.or.jp/check/opinion/category/c15/

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【お知らせ】

 日本心臓財団シンポジウム紙上公開

 2023年3月12日、第87回日本循環器学会学術集会にて開催されました日本心臓財団シンポジウムの内容をまとめて、日本心臓財団ホームページにて公開しました。循環器診療におけるチーム医療について、多職種の先生方のご講演を掲載しています。

 日本心臓財団シンポジウム(第87回日本循環器学会学術集会)
 https://www.jhf.or.jp/symposium-2023/

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【雑誌「心臓」特集のお知らせ】

☆「心臓」が2020年1月号より、大幅にリニューアルされています。今までの特集や投稿論文のほか、循環器内科医・心臓外科医の海外留学の現状を綴った連載や、循環器医が知っておく最新のエビデンスなど、魅力的なコンテンツが掲載されています。

☆「心臓」掲載投稿論文は、日本循環器学会認定循環器専門医の研修単位を3単位取得できます。皆様の投稿をお待ちしております。

 現在販売中の「心臓」8月号の特集は、「心エコーによる最新の循環器疾患診療」(企画:坂田好美・杏林大学臨床工学科教授)です。今回は、心エコーについて、特に注目されている疾患、診断法について取り上げています。心アミロイドーシス/心ファブリー病、SHDカテーテル治療、Cardiac POCUS、腫瘍循環器学、さらにはAIを用いたデータ活用について最新の話題を解説しています。。
 次号9月号(9月15日発売)の特集は「肥大型心筋症のリモデリングとミオシン阻害薬の可能性」です。

 https://www.jhf.or.jp/pro/shinzo/new_con.html

 「心臓」ホームページ
 https://www.jhf.or.jp/shinzo/

好評連載「HEART@Abroad 番外編
海外から日本に留学中の医師から見た日本と海外の違い(PDF)
 https://www.jhf.or.jp/pro/shinzo/img/vol55_2.pdf

 J-Stage「心臓」バックナンバー
 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/shinzo/-char/ja/

☆「心臓」は、日本循環器学会との共同発行です。ご支援いただくための教室賛助会員・病院賛助会員を募集しています。詳細は本誌をご覧ください。
 
 「心臓」の購読・広告に関するお問い合わせ
 https://www.jhf.or.jp/shinzo/pur-ad.html

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【ドクターのつぶやき】
 
 歩行ガイドによる心臓リハビリ、高齢者のフレイルを克服する

 歩行ガイドによる心臓リハビリが市民権を得た。昨年の診療報酬改定の際に厚労省は粋な計らいをみせた。循環器病基本対策に則り、高齢フレイル患者への心臓リハビリが回復期病棟でも漸く認められた。

 多くの高齢患者は心臓・血管病で緊急入院すると、絶対安静を強いられる。この絶対安静が高齢者で問題、超高齢者では大問題。長過ぎると以後の日常生活が危うくなる。身体活動能力を損ねる。歩くどころか、立ち上がれない。適切介入が遅れると介護・介助状態に陥ってしまう。"病前は歩けたのに!"との家族の嘆きが漏れる。これを何とか解決しようと、"早期の心臓リハビリを!"との積極介入が随分浸透してきた。ところが、急性期病棟での心臓リハビリだけではゴールはなお遠い。入院日数が厳しく限られる。さらに回復期病棟に転院・転棟しても、診療報酬の適応外。今回、この不具合の一部がやっと解消された。

 日本循環器学会が既に推奨するとおり、高齢フレイル患者は歩行ガイドの心臓リハビリに適している。急性期を何とか凌ぎ、病前の生活回復を目指して心臓リハビリが始まる。まずは、ベッドから降り、自ら立ち上がる。出来れば、身体をほぐし、衰えた筋力とバランスをアップする。持久力を徐々に高め、最終的には歩容を整えて歩行速度を上げていく。このリハビリを包括的に進め、自らのゴール、歩行退院をめざす。歩行リハビリの効果・成績が徐々にみえてきた。

 直近三年間、760件、平均年齢85歳のデータを纏めてみた。リハビリ後の退院時に、70%が45m以上歩行、50%がセルフケアにいそしみ、そして10%が6分間で300m以上の独立歩行を達成した。歩行ガイドによる心臓リハビリが見事な逆ヘの字効果を描き、80%が病前に居た住処に帰っている。
 高齢者にやさしいこのフレイル克服効果がさらに検証され、"誰でも、何処でも、何時でも受けられる心臓リハビリ"が実装される日が待たれる。(T.I.)

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【循環器病予防eラーニング講座ご案内】

 このeラーニング講座では、(一社)日本循環器病予防学会主催の日本循環器病予防セミナー※1、保健指導レベルアップセミナー※2で行われた講義内容を中心に、循環器病予防の疫学研究、臨床研究、また保健指導に関しての講義が約60講義配信されています。
第一線で活躍される先生方の講義を通して、予防ガイドラインの根拠となるエビデンスがどのような研究計画を経て得られるか、どのように理解すればよいのかが理解できるプログラムとなっています。さらに、循環器病予防の知識を療養指導に活かすためのプログラムが備わっています。
登録視聴は無料ですので、是非ご活用下さい。

<eラーニング講座のご案内>
https://www.doumyaku-c.jp/elearning/JACD/no32-seminar.html
(配信:一般社団法人スマートウエルネスコミュニティ協議会)

※1 日本循環器病予防セミナー 
 主催:一般社団法人日本循環器病予防学会 
 共催:公益財団法人日本心臓財団
http://www.jacd.info/yobou-seminar/index.html

※2 保健指導レベルアップセミナー 
 主催:一般社団法人日本循環器病予防学会
 http://www.jacd.info/hokenshidou-seminar/index.html

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【ご寄附のお願い】

 日本心臓財団は皆様の寄附により支えられております。
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 ○どなたでも100円からクレジットカードで寄附ができます
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 ○ソフトバンクのスマホをご利用の方は携帯料金と一緒にご寄附ができます
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 発行:日本心臓財団
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