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一般向けメールマガジン 第212号

HEART WEB NEWS No.212

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【日本心臓財団 HEART WEB NEWS 第212号】2023年4月3日発行(月刊)
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【目次】
 トピック:期外収縮という誰にでもある不整脈
 お知らせ:健康ハートウィーク2022動画公開
 ドクターのつぶやき:天災は忘れた頃に来る
 ご寄附のお願い

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【トピック】

 期外収縮という誰にでもある不整脈

 "胸が一瞬ドキッとする"、"脈が飛ぶ"といったことは多くの人が過去に少なくとも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。これは期外収縮といわれる不整脈です。
 本来規則的に打っているはずの心臓の拍動が一拍だけ早く打つためにその拍動が脈として感じられず、脈の途切れを感じたり、途切れた後の拍動を強く感じたりして、"ドキッとする"ことになります。

 このような期外収縮は心臓に病気を持つ人だけではなく、健康な人でもしばしば起こるもので、不整脈を訴える人の多くがこの期外収縮によるものだといっても過言ではありません。期外収縮には上室性と心室性があり、会社の健康診断や地域の住民健診の際にもよく見られる所見の一つです。

 この期外収縮という不整脈は、心筋梗塞や心不全、拡張型心筋症などの重篤な基礎疾患がない場合、強い症状がない場合には、積極的な治療は行わないことが原則です。
 しかし、期外収縮が発生することによって強い症状を自覚し、日常生活に支障があるという場合には、次の段階として、薬剤を用いて期外収縮数を減少させることを検討し、あるいはアブレーションによって根治を図るといった治療法を考えることになります。

 ただし、アブレーション治療にはリスクがあり、その根治率は100%ではありません。また、僧帽弁輪付近のアブレーションの場合には房室ブロックという不整脈の合併症を生じる可能性もあります。

 日本心臓財団のセカンドオピニオンにも、この期外収縮の自覚症状に悩まされ、治療したいというご相談が多く寄せられます。しかし、この多くは健康な人にみられる治療の必要のない期外収縮です。通常はほとんどの人が自覚していませんが、心配ごとがあったり、過労が原因で感受性が高まると、意識して苦痛に感じる場合があるのです。
 こうしたことから、ご相談の回答としては、心不全などの基礎疾患があって、それを悪化させるようなリスクがない限りは、積極的に治療する必要はありませんが、注意深く経過を見ることは必要です、という場合が多くなります。

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【健康ハートウィーク2022動画公開】

 8月10日の健康ハートの日を中心に、今年は健康ハートウィーク2022と題して、
さまざまな啓発活動が日本心臓財団、日本循環器学会、日本循環器協会の3団体
共催により実施されました。コロナ感染拡大防止の観点から、その多くはオン
ラインのイベントでしたが、アーカイブとしてたくさんの記録を残すことがで
きました。ぜひご覧いただけますと幸いです。

 健康ハートの日 x 横浜FCコラボ「心臓病を克服したミネイロ選手と循環器医
師のハート対談」
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/yokohama-fc/

 すごいぜ 心臓「小学生向け心臓教室」
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/heart-class/

 集まれ!未来のドクター(高校生、予備校生向け)
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/mirai-doctor/

 心筋梗塞患者と家族インタビュー 心疾患を防ぐために明日からできること
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/post-1/

 現役医師たちに SUSURUの毎日ラーメン生活を見せてみた(SUSURU TV)
 https://www.kenko810.com/event2022/entry/susutainability/

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【ドクターのつぶやき】
 
 天災は忘れた頃に来る

 寺田寅彦の「天災は忘れた頃に来る」という言葉は有名である。震災があったとき、あるいは二百十日のころ、新聞などには必ず引用されるお馴染みの言葉である。
 寅彦の弟子、中谷宇吉郎の随筆集「中谷宇吉郎随筆集、岩波文庫1988」の一文にこの言葉の由来が書いてあった。実は、この言葉がどの随筆にあるのかがわからないという。どこにも見当たらないのだそうである。しかたなく、中谷宇吉郎自身が「天災」という短文を書いた時、これをまさに千古の名言であると書いて紹介したのだが、「これは先生がペンを使わないで書かれた文字であるといえる」、ということにしたということであった。
 実は、私も、この言葉をときに引用する。そうしたとき、その出典を探すのだが見つからず、探し方が悪いのだ、と思い込んでいたのだった。早い時期に、この随筆に気が付いていたならば、気持が落ち着いたことであったであろう。出典を知らないままに、使っているといううしろめたさを感じながら、使っていた名言の一つなのであった。

 中谷宇吉郎随筆集は「私の郷里は片山津という加賀の温泉地である。」と始まる。「家は呉服雑貨店をやっていて、柴山潟という湖側にあった。」「二人の男の子が、ひとりは物理学をやり、今一人は考古学をやることになって、家はとっくに人手に渡った。」という。金沢は名士の産地でもあったようであった。
"かぶらずし"というエッセイもある。金沢の郷土の漬物である。「おおきいかぶらを厚さ1センチくらいに切り、中に切れ目をいれて塩ぶりを挟む。重しを強くしてこうじで漬ける。」中谷宇吉郎もご推奨の非常にうまい漬物である。「芭蕉の猿蓑にこれらしいものが顔を出していて、寺田先生にこの話をしたら、そうかもしれんな、といっておられた」という。
"かぶらずし"は私も大好きである。金沢の仲間達が年末には送ってくれる。私どもも、暮には、有楽町駅前の富山アンテナショップまででかけて、年明けに備える。この"かぶらずし"にも歴史があった。

 私共は戦後、満洲から引揚げてきた。引揚げという大きな天災を乗り越えてきたつもりだった。しかし、今にして知ったのは、満洲進出はウクライナ侵攻と同じことなのだった、ということである。引揚げは天災ではなく、人災であった。「人災もまた、突然にやってくる」のであったのであろう。当時、知らなかったのは恥ずかしいことだった。人災ならば、終えることはできる筈である。今日のウクライナ侵攻が終えられないのは終えようと努力していないのではないか。それを可能にする立場にはないとはいいながら、どうしようもなく、強い、つよい、反省の中に今、自分はいる。(T.S)

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