妊娠中の変化
妊娠すると、女性の身体には多くの変化が起きます。心臓に関して最も大きな変化は、全身を流れる血液量が妊娠前に比べて1.5倍に増えることです。これは、お腹の中で赤ちゃんを育てるために必要な変化です。すなわち、お母さんの血液が取り込んだ酸素や栄養素は、胎盤からへその緒を通じて赤ちゃんの身体に取り込まれ、赤ちゃんが育ちます。胎盤にお母さんの血液がたくさん流れると、たくさんの酸素や栄養素が赤ちゃんに送られるので、お母さんは全身の血液の量を増やすのです。しかしながら、血液が増えることにより、心臓の仕事量は増え負担が大きくなります。妊娠中には血液の成分にも変化が生じます。例えば、分娩の際の出血に備えて、血液は固まりやすくなっています。また血管も柔らかく広がりやすく変化します。これらの心臓や血管に関わる身体の変化により、心臓病をもつ母体においては心不全や不整脈、血栓症や動脈解離などが起きやすくなり、お腹の赤ちゃんにおいては、早産や低出生体重のリスクが増えます。

