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更新日:2012年4月16日

2012年3
  先日,日本医師会主催の市民公開フォーラム「脳卒中から身を守ろう〜予防から治療・リハビリまで〜」にパネリストとして参加した.メインテーマが脳卒中なので,パネリストの主役は神経内科医とリハビリテーション医であったが,筆者は,予防という観点からいくつかの話をした.「脳卒中は危険な崖から落ちてしまうほど恐ろしい病気です.私たち医療者は脳卒中になって崖から落ちそうになった人を治療で丘に引き上げることをしています.なんとか引き上げてもこの病気は再発しやすいので,崖の上にいることには変わりありません.ですから,そもそもこの崖に近づかないようにすることが大切です.崖に近づくまでには,長い道のりがあり,そこには,高血圧,糖尿病,脂質異常症,肥満,喫煙など多くの『危険!崖に近づくな』という注意書きがあります.危険を予知し,崖に近づかないようにしましょう.」と,絶壁の崖のイラストを見せながら,予防の重要性を強調した.崖の話は参加者に受け,理解も得られたように思う.我が国には,高血圧4,000万人,脂質異常症5,000万人,糖尿病は耐糖能異常を含めて2,000万人,喫煙者2,600万人,肥満者2,500万人がいると報告されている.国民全員が,その先にある崖を意識しながら,崖に近づかないようにする必要がある.
(山科 章)

2012年2
先月号でお知らせがあったように,雑誌「心臓」のJ-STAGEでの閲覧が始まった.全く嬉しい限りだ.J-STAGEは,独立行政法人科学技術振興機構(JST)が運営する無料公開の電子ジャーナルシステムであり,文部科学省が推進している科学情報の電子化プロジェクトの1つである.1,000弱のジャーナル,予稿集が収載され,その約20%が和文誌のようだが,昨年3月末に「心臓」もJ-STAGE登載の優先誌に選定された.それを受けて,過去のすべての「心臓」を電子閲覧できるように,アーカイブ化もJSTへ申請した.商業雑誌の形態ではあったが,心臓財団が発行する和文投稿誌として価値が認められ,8月にアーカイブデータ作成対象誌にも選定された.発刊後1年後から掲載され,ネットで閲覧できるようになる(ほとんどの雑誌が1年後から掲載).現在42巻(2010年)からの電子化作業を鋭意進めており,順次掲載の予定である.平行して進められている創刊号(1969年)からのアーカイブ化が完成すると,Supplementも含めてすべてネットで閲覧できるようになる.電子化されたアーカイブがJournal@rchiveに約500誌公開されているが,1969年からの収載は古い順でいうと前から1/4くらいであろうか.因みに,日本循環器学会の旧誌,Japanese Circulation Journalは1960年からアーカイブ化されている.
e-journal化が進む中で,「心臓」の電子化も大きな課題であったが,1969年の創刊号に遡っての電子ジャーナル化が一気に達成できたことは誠に喜ばしい.同時にこれは,「心臓」が電子化に値する学術誌としてJSTに認められたことをも意味している.創刊以来,本誌の編纂に多大な情熱を注いでこられた諸先輩方に,心より感謝申し上げたい.J-STAGE掲載を契機に,さらに論文投稿が増え,研究会のSupplementとしての活用が増えることを期待している.
(山口 徹)

2012年1
最近,心に響く演説を聞くことは本当に少ないが,昨年11月に来日されたブータンのワンチェク国王の国会での演説は,私たち日本人の心を少なからず揺さぶった.まだ31歳の青年の言葉とは思えない,謙虚で慈愛に満ちた,そして親日家らしい言葉と振る舞いに,国会もいつもとは違った賞賛の拍手で埋まっていた.演説中のいくつかの文章を引用してみると,“3月11日の震災に続く大きな災難から,再びより強く立ち上がる国があるとすればそれは日本であり,日本国民である.”“私はブータンの先代の人たちが,かつて日本がアジアを近代化に導くのを誇らしく見ていたのを知っている.”“日本は開発途上であったアジアに自信と進むべき道を示し,アジアの国々に希望を与えて来た.”“日本国民もブータンの国民も共通して誠実さを大切にし,個人の希望よりも社会や国家の望みを優先し,公益を高く位置づける強い気持ちを持っている.”“このグローバル化した世界において,日本は技術力,勤勉さと責任,強固な伝統的価値における模範であり,これまで以上にリーダーにふさわしいのです.”などである.国賓で来日したとはいえ,震災以降,あるいはその前から,アジアの中で,そして世界の中で苦戦を強いられている私たち日本人を元気づけ,奮い立たせてくれる言葉であった.逆に,日本の現況を考えさせられる演説ともいえるかもしれない.
  話は変わるが,最近の臨床研究・臨床治験における日本の位置づけはどうだろうか.今回のHeart Selectionでは新しい抗血栓治療薬が特集されている.これらの新しい抗凝固薬や抗血小板薬の開発においては,いわゆるglobalの治験の中に日本人やアジア人が対象の一部として入った介入試験が通例になってきたことは大きな進歩である.もう少し環境が整えば,アジアから発信されるアジア人を中心としたエビデンスも次第に多くなるだろう.事実,AHAやACC,ESCのlate braking clinical trialsでも日本からの演題がかなり取り上げられるようになった.ブータン国王の演説ではないが,アジアでのリーダーシップを示す臨床研究が今後さらに活発に行われることが望まれる.一方で,最近の韓国や中国などの臨床研究の動きも急で,質の良い臨床研究が行われていることも見逃せない.アジアの中で友好的で効率的なネットワーク作りも重要な課題である.
(代田浩之)


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