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不整脈 Question 11

心房細動の治療法としてカテーテルアブレーションが普及しています。どういう患者さんにお勧めすればよいでしょうか

高周波カテーテルアブレーションは多くの不整脈に応用されていますが、成功率、合併症の頻度と内容、手技に要する時間などは不整脈の種類によって大きく異なります。心房細動のカテーテルアブレーションは、特殊な医療機器(三次元マッピングシステム、イリゲーションカテーテル、食道温度センサーなど)を用い、手技も複雑であるため、安定した成績を得るためには術者の修練はもちろんのこと、アブレーションに関わる医療スタッフにも一定の経験が必要です。

心房細動カテーテルアブレーションにも良好な治療成績の報告が散見されますが、これらは経験豊富な専門施設からの報告であることに留意する必要があります。実際、日本循環器学会のガイドライン(カテーテルアブレーションの適応と手技に関するガイドライン)では、心房細動カテーテルアブレーションのクラスⅠ適応を以下のように限定しています。
すなわち、「高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認めず、かつ重症肺疾患のない薬物治療抵抗性の有症候性の発作性心房細動で、年間50例以上の心房細動アブレーションを実施している施設で行われる場合」です。

心房細動治療でカテーテルアブレーションを選択する主な目的は、洞調律を維持して、心房細動のために低下した生活の質を改善させることにあります。

薬物療法を用いて、リズム治療(洞調律を維持させる治療)または心拍調整治療(心房細動の心拍数を適切に調整する)の効果を比較した研究では、両者の治療法で生命予後に差は見られないとしています。一方、本邦のJ-Rhythm研究では治療に対する認容性はリズム治療が優れていることを示しました。リズム治療を追求する場合、カテーテルアブレーションは薬物療法よりも優れているとする成績が報告されており、有症候性で薬剤治療抵抗性の心房細動へのカテーテルアブレーションが先の日本循環器学会ガイドラインでクラスⅡ以上の適応に位置づけられています。

心房細動カテーテルアブレーションの方法は施設によって差があるのが現状ですが、発作性心房細動では上下肺静脈を一括隔離する方法(拡大肺静脈隔離)が一般的に行われています。持続性心房細動、左房拡大や左室機能低下を認める症例では、拡大肺静脈隔離に加えて種々の追加焼灼が工夫されていますが、治療成績は左心房拡大や左室機能低下のない発作性心房細動に比べて劣っているのが現状です。

心房細動カテーテルアブレーションは急速に普及し、カテーテルアブレーション全体数の中で占める割合も第1位となりました。新しいアブレーションデバイスも今後臨床応用される見込みで、さらに発展することが見込まれます。しかし現時点では、アブレーションの長期効果、生命予後改善効果、脳梗塞予防効果などの知見が十分でないことを認識する必要があります。

Only One Message

カテーテルアブレーションは薬物治療が無効で、心房細動の症状に困っている症例にお勧めしたいと思います。持続性心房細動などで難治が予想される症例は、経験豊富で治療成績のよい施設に紹介したいと思います。

回答:池主 雅臣

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