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不整脈 Question 2

Brugada症候群という疾患に出会ったことがありません。たまには出会うものでしょうか

器質的心疾患がないのに特徴的な心電図異常を持ち、主に夜間や早朝に心室細動を生じるBrugada症候群、症候はなくて心電図異常があるだけのBrugada型心電図、前者は滅多に出会わないもの、後者はたまには出会うもの、と言えます。

Brugada型心電図異常はcoved型 (type 1) とsaddle-back型 (type 2、type3)の3種類に分けられますが、前者は日本人学童で0.005%、成人で0.1~0.3%、後者は40歳以上で0.7%、男性では2.1%にも達すると報告されています。つまりBrugada型心電図は100人の心電図をとると1回は出会う可能性があります。

心電図異常には日差変動、日内変動があり、副交感神経優位の時に強くなるので早朝や夜、満腹状態などに記録すると発見しやすいです。また、発熱時にも強く変化しますし、胸部誘導を1肋間上で記録しても発見率が上がります。疑わしい時は上記を参考にして繰り返し心電図をとって下さい()。


図 Brugada型心電図の1例(70歳男性)
 A. 胆嚢炎による高熱時(coved型, type1)
 B. 解熱剤使用後(coved型, type1)
 C. 数日後の午前(saddle back型, type2)
 D. さらに数日後の午後(type3)
平位図3.jpg

Brugada型心電図を未発症のBrugada症候群というべきかは難しい問題です。Brugada型心電図から突然死が生じる比率は年間で0.5%とされ、確かに無症候性Brugada症候群とも言えますが、発症しない人の方がはるかに多いからです。無症候からの発症例の多くが自然発生のcoved型 (type1)を示すと言われますが、実際の発症予測は専門医でも非常に困難で、むやみに負荷試験を行うとかえって悩ましい結果を得ることになります。Brugada型心電図はたまには出会いますが、あまり出会いたくないものです。

Only One Message

Brugada症候群は滅多に出会えないもの、Brugada型心電図はたまに出会うもの、でも出会いたくないもの。

回答:平位 有恒

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