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第11回日本心臓財団メディアワークショップ「CKDと循環器疾患」

慢性糸球体腎炎による腎不全減少と健康診断の関係

会場:透析患者は毎年1万人ずつ増えています。かつて、その原因疾患で最も多かったのは慢性糸球体腎炎だったということですが、近年、その割合が減少傾向にあるのはなぜでしょうか。

槇野:慢性糸球体腎炎は、自覚症状がないだけに健康診断で見つけるしかありません。わが国は、世界に先駆けて学校や職場で健康診断を行うようになったおかげで、慢性糸球体腎炎を早期発見しやすくなりました。これによって、早期治療が可能になり、慢性糸球体腎炎から腎不全への進行を未然に防げるようになったことが大きな要因です。一方で、最近の糖尿病患者の爆発的な増加により、透析の原因疾患に糖尿病性腎症が占める割合は増加しています。
 

GFRを簡単に知る方法は?

会場:糸球体濾過量(GFR)は慢性腎臓病(CKD)診断の指標となっていますが、クレアチニン値からそれを算出する計算式はかなり難解です。一般の人が、自分のGFRをもっと簡単に知ることのできる方法はないのでしょうか。

槇野:非常によいご指摘をいただきました。現在、少しずつではありますが、健康診断などの検査結果を通知する際、クレアチニン値と一緒にGFRの数値をつける病院も出てきました。日本腎臓学会からも、GFR値を併記するよう各検査センターに要望書を出しているところです。

矢﨑:難しい計算をしなくても、自分のクレアチニン値と年齢からGFRがわかる表があれば便利だと思いますが、いかがでしょうか。

槇野:はい、そうですね。医師のための「CKD診療ガイド」には、クレアチニン値と年齢でわかるGFR早見表がついていますが、今後は、一般の人も簡単に自分のGFRがわかるような表を提供できるといいでしょうね。
 

CKDを合併した高齢者高血圧の降圧目標

矢﨑:CKDを合併した高血圧患者の降圧目標値は、収縮期血圧130mmHg、拡張期血圧80mmHg未満と通常より低くなっていますが、高齢者の場合も同じことがいえるでしょうか。

筒井:高齢者高血圧の治療に関しては、今年、80歳以上の高齢高血圧患者を対象にしたHYVETという大規模臨床試験の結果が発表され、高齢者においても降圧薬治療で予後が改善されることが証明されました。わが国でも、たとえ高齢であっても、特に心血管リスクが高くなければ若・中年者同様、140/90mmHg未満を目指して降圧するということで、コンセンサスが得られつつあります。ただ、CKD合併の高齢高血圧患者の降圧目標値については、まだ明確なエビデンスが出ていないため、今後の研究が待たれるところです。
 

国民のCKD理解に向けて

矢﨑:たとえば、メタボリックシンドロームはメディアで「メタボ」と大きく取り上げられ、一般の人の認識も非常に高くなっています。一方、CKDはこれだけ多くの患者がいるにも関わらず、まだあまり知られていません。やはり、一般の人には、その検査法がわかりにくいことが原因でしょうか。

槇野:検査法そのものは、個人的には非常にシンプルだと思っています。蛋白尿とクレアチニンを測ればCKDかどうかの診断がつくわけですから。ただ、自覚症状がないことが、これまでの認識不足につながっているのではないでしょうか。CKDは、腎臓病に対する国民の意識を高めるために、よりわかりやすくした包括的な疾患概念です。今後さらに増えると予測されている透析患者を少しでも減少させるためにも、CKDというキーワードで、国民に早期発見・早期治療の重要性を呼びかけることが重要だと考えています。

矢﨑:確かに、CKDは腎障害のさまざまな病態を全て含めたものなので、一般の人にもわかりやすくなっていますね。今後、CKDもメタボリックシンドロームのようにメディアに取り上げられ、国民の関心が高まることを願っています。

【目次】
開会挨拶・座長挨拶
「CKDとは?その定義とわが国のCKD対策」?腎臓内科の立場から
「心血管リスクと今後のCKD対策」―循環器内科の立場から
質疑応答
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