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高血圧治療ガイドライン・エッセンス

2014年5月更新

高血圧治療ガイドライン (日本高血圧学会)

1. 高血圧の分類

A.成人における血圧値の分類

 
分類
収縮期血圧
 
拡張期血圧




至適血圧
< 120
かつ
< 80
正常血圧
120-129
かつ/または
80-84
正常高値血圧
130-139
かつ/または
85-89


I 度高血圧
140-159
かつ/または
90-99
II 度高血圧
160-179
かつ/または
100-109
III 度高血圧
≧180
かつ/または
≧ 110
(孤立性)収縮期高血圧
≧140
かつ
< 90

B.(診察室)血圧に基づいた脳心血管リスクの層別化

(診察室)血圧に基づいた脳心血管リスク層別化
I度高血圧
140-159/
90-99mmHg
II度高血圧
160-179/
100-109mmHg
III度高血圧
≧180/
≧110mmHg
リスク第一層
(予後影響因子がない)
低リスク
中等リスク
高リスク
リスク第二層
(糖尿病以外の1~2個の危険因子、3項目を満たすMetSのいずれかがある)
中等リスク
高リスク
高リスク
リスク第三層
(糖尿病、CKD、臓器障害/心血管病、4項目を満たすMetS、3個以上の危険因子のいずれかがある)
高リスク
高リスク
高リスク

2.治療計画

A.初診時の高血圧管理計画

高血圧管理計画

B.生活習慣の修正項目

1.減塩 6g/日未満
2a.野菜・果物 野菜・果物の積極的摂取*
2b.脂質 コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
魚(魚油)の積極的摂取
3.減量 BMI(体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)])が25未満
4.運動 心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の強度の有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上を目標に)行う
5.節酒 エタノールで男性は20-30ml/日以下、女性は10-20ml/以下
6.禁煙 (受動喫煙の防止も含む)

 生活習慣の複合的な修正はより効果的である

*重篤な腎障害を伴う患者では高K血症をきたすリスクがあるので、野菜・果物の積極的摂取は推奨しない。糖分の多い果物の過剰な摂取は、肥満者や糖尿病などのカロリー制限が必要な患者では勧められない。

C.主要降圧薬の積極的な適応

 
Ca拮抗薬
ARB/ACE
阻害薬
サイアザイド系
利尿薬
β遮断薬
左室肥大
 
 
心不全
 
●*1
●*1
頻脈
●*2
 
 
狭心症
 
 
●*3
心筋梗塞後
 
 
CKD
(蛋白尿-)
(蛋白尿+)

 


 
 
 
脳血管障害慢性期
 

糖尿病/MetS*4

 
 
 
骨粗鬆症
 
 
 
誤嚥性肺炎
 
●*5
 
 

*1 少量から開始し、注意深く漸増する *2 非ジヒドロピリジン系
*3 冠攣縮性狭心症には注意 *4 メタボリックシンドローム *5 AEC阻害薬

D.主要降圧薬の禁忌もしくは慎重使用例

降圧薬

禁忌

慎重使用例

Ca拮抗薬

徐脈(非ジヒドロピリジン系)

心不全

ARB

妊娠、高カリウム血症

腎動脈狭窄症*

ACE阻害薬

妊娠
血管神経性浮腫
高カリウム血症
特定の膜を用いるアフェレーシス/血液透析

腎動脈狭窄症*

利尿薬
(サイアザイド系)

低カリウム血症

痛風
妊娠
耐糖能異常

β遮断薬

喘息
高度徐脈

耐糖能異常
 閉塞性肺疾患
 末梢動脈疾患

*両側性腎動脈狭窄の場合は禁忌


3.臓器障害を合併する高血圧の治療

A.心疾患を合併する高血圧の治療

狭心症
●器質的冠動脈狭窄*1:β遮断薬、長時間作用型Ca拮抗薬
●冠攣縮:長時間作用型Ca拮抗薬
●降圧が不十分な場合はRA系阻害薬(ACE阻害薬、ARB)を追加
心筋梗塞後
●RA系阻害薬、β遮断薬が第一選択薬
●降圧が不十分な場合は長時間作用型Ca拮抗薬、利尿薬を追加
●低心機能症例:アルドステロン拮抗薬の追加*2
心不全
収縮機能不全による心不全
●標準的治療:RA系阻害薬*3+β遮断薬*3+利尿薬
●重症例:アルドステロン拮抗薬の追加
●降圧が不十分な場合は長時間作用型Ca拮抗薬を追加
拡張機能不全による心不全
●持続的かつ十分な降圧が重要
心肥大
●持続的かつ十分な降圧が必要
●RA系阻害薬、長時間作用型Ca拮抗薬が第一選択

*1適応例では冠血行再建術を行う
*2高K血症に注意する
*3少量から開始し、慎重にゆっくりと増量する

B.慢性腎疾患(CKD)を合併する高血圧の治療計画

  降圧目標 第一選択薬
糖尿病(+) 130-180mmHg未満 RA系阻害薬
糖尿病(-) 蛋白尿 無 140/90mmHg未満 RA系阻害薬、Ca拮抗薬、利尿薬
  蛋白尿 有 130/80mmHg未満 RA系阻害薬

・蛋白尿:軽度尿蛋白(0.15g/gCr)以上を「蛋白尿有り」と判断する
・GFR 30mL/分/1.73㎡未満、高齢者ではRA系阻害剤は少量から投与を開始する
・利尿薬:GFR 30mL/分/1.73㎡以上はサイアザイド系利尿薬、それ未満はループ利尿薬を用いる
・糖尿病、蛋白尿(+)のCKDでは、130/80㎜Hg以上の場合、臨床的に高血圧と判断する

C.糖尿病を合併する高血圧の治療計画

糖尿病を合併する高血圧の治療計画

*ただし、動脈硬化性冠動脈疾患、末梢動脈疾患合併症例、高齢者においては、降圧に伴う臓器灌流低下に対する十分な配慮が必要である

日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014年版」を参考に作成

本ガイドライン・エッセンスの要旨は日本循環器学会・その他の学会作成のガイドライン等を参考に日本心臓財団にて要約解説したものです。詳細な情報・転載許諾等はガイドライン末尾の出典論文を参照、または当該学会にお問い合わせください。

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