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疾患別解説

ステント治療

日本心臓財団に寄せられたご相談

ステント治療について教えてください。
日本心臓財団からの回答
1)ステントの耐用期間

日本では1994年から保険適応のもと、冠動脈ステントが使用されています。ステントの安全期間についてですが、ステンレスは一般的には腐食しないといわれており、今の所そういう報告もありません。

2)ステント挿入後の造影検査

一般的に、冠動脈ステント挿入後は、症状がなくても6ヶ月後に冠動脈造影を行ないステント挿入部の評価をしています。症状があれば、そのときに評価します。問題がなければ、その後は定期的な検査はいらないと思います。ただし、他の部位の動脈硬化が進む可能性があり、3~5年後には冠動脈造影を受けられることをお奨めします。

なぜ6ヶ月後かというと、その頃までがステントの内の内膜増殖が一番強い時期で、血管が一番細くなるといわれているからで、以後はふたたび広がる可能性があるからです。

3)ステント挿入後の一般的注意

最近では狭心症や心筋梗塞の患者さんにはステントを使用したカテーテル治療が一般的に行われています。ステントはステンレスなどの金属で作られた医療器具で、風船で拡張した冠動脈の狭窄部位に留置してより確実に血管を内腔から保持することでカテーテル治療の治療効果を上げています。すでに全世界で10年間以上の治療経過があり、長期の安全性も確立されていますが、いくつかの注意事項があります。
1)留置後1週間以内にステント内の血栓閉塞のため、心臓発作が再発することがあります。この亜急性冠閉塞は多い合併症ではなく、全体の0.1%程度の頻度で発生します。通常、アスピリンとパナルジンの二剤の抗血小板薬が処方されますが、忘れずにきちんと内服するようにしてください。

2)退院後は内服薬の副作用モニターも含めてはじめの1ヶ月は2週間毎に外来通院し、血液検査と治療効果確認のための問診や心電図検査を行います。パナルジンではまれに肝機能障害、無顆粒球症の出現が見られます。強い倦怠感、黄疸、出血傾向や易感染性などがある場合はすぐに主治医に相談してください。
3)留置後1ヶ月以後は安定期に入りますが、再狭窄のために半年後くらいたってから狭心症が再発することがあります。再狭窄のない場合では、治療した血管はその後に問題を起こすことは極めてまれです。
4) MRIなどの検査を行うことは問題ありません。
5)現在虚血性心臓病のカテーテル治療としてステント留置は全体の70%程度行われています。よい適応で使用すれば安全かつ確実な治療法であり、これまでに長期的な問題として明かな有害事象は報告されていません(ステントが血管の中で錆びたり、折れたりすることはありません)。

虎の門病院循環器センター内科医長 石綿清雄ほか

付記)ステンレスのステントの場合は、3か月経って、固定されるまではMRI検査は控えた方がよいとされています。

4)DESステントについて

(1)DESとは薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent)をいいます。再狭窄を防止する薬剤をステントに塗布して、ここからゆっくりと薬剤を溶出させるというわけです。薬剤としては、抗生物質であるシロリムス(サイファー・ステント)や抗癌薬であるパクリタキセル(タキサス・ステント)などがありますが、本邦ではサイファー・ステントが認可され、用いられています。これらの薬剤溶出性ステントでは再狭窄率は5分の1ないし10分の1に低下します。反面、価格が通常の30万円から42万円と1.5倍になります。

(2)現在薬物溶出性ステントは、サイファーとタキサスの2種類と2009年5月より使用可能となったエンデバーステントを含めた3種類が使用可能です。使い分けは術者により多少異なりますが、基本的には、ステントの形、長さ、薬の特性、在庫の有無に加えて、患者様の病態、挿入する血管の大きさ、蛇行の具合、動脈硬化の性質や程度などの様々な要因を加味したうえでどのステントが適切であるかを判断しています。同一の患者様に異なった種類のステントを使用することも、適切と判断すればあり得ます。時にはサイファー・ステントの再狭窄の部位にタキサス・ステントを挿入する場合やその逆もあります。これも比較的どこの施設でも行われていると思います。

2009年6月26日追加更新

2013年4月10日

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