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疾患別解説

QT延長症候群の診断法

日本心臓財団に寄せられたご相談

num.7948

12歳、 女性: QT延長症候群

4月に学校の心電図検診で、QT延長の疑いで要精密検査になりました(QTc 0.466)。それまで発作や失神などの病歴はまったくありません。
循環器科を標榜する医院を受診したところ、心電図で安静時QTc 0.467、マスター負荷時QTc最長0.489、24時間ホルター心電図では心室性期外収縮は認めずという結果でした。心エコーは異常なしでした。
先生からはQT延長症候群ではあるが、運動制限は潜水以外はすべて大丈夫、薬も必要なし、いつもどおりの普通の生活を送るように。ただし1年後に経過観察で再検査をうけるようにと言われました。
1)バスケットボール部での活動は本当に大丈夫でしょうか。1年先の経過観察でよいのでしょうか。
2)今回の検査で、QT延長症候群と確定診断されたのでしょうか。遺伝子診断も血液検査もしていませんが、学校への報告書には、QT延長症候群と記載されていました。
3)家族も心電図検査を受ける必要がありますか。
日本心臓財団からの回答
心電図のQT時間は、様々な要因で常に変動しています。特に心拍数の多寡によって大きく変化するため、心拍数で補正した値(QTc)を用いて評価するのが一般的です。しかし、この補正の仕方によっても数字が大きく変わってしまいます。一般的にはBazettという人が考案した式を用いますが、心拍数が高い場合には過剰に補正してQTcが長く評価されてしまうため、特に小児には不向きとされています。
小児では別のFridericiaの式を用いるのが良いといわれていますが、通常の心電計には組み込まれていませんので、医師が手計算で求める必要があります。本件のQTcの数値がどの補正法によるものかで、評価が変わってきます。
先天性QT延長症候群の診断はSchwarzの基準によってなされます。細かい点は述べませんが、心電図のQTc延長の程度、T波の形、変動、特殊な不整脈の有無、失神発作の既往、家族歴などを点数化して診断するものです。これによってQT延長症候群の可能性が高いと判断された場合には、運動負荷試験、薬物負荷試験、ホルタ―心電図などを行い、さらに確定診断には遺伝子検査が行われます。ただし、遺伝子検査も100%ではなく、遺伝子異常が見つからない場合もあります。
治療は、軽度の場合は1年に1回程度の心電図での経過観察でよく、中等度以上に延長している場合や失神歴のある場合はβ遮断薬を中心に用い、QTcの値を見ながら調節します。薬物が無効で重症の不整脈が起こる場合にはペースメーカやICDなどを用いることも考えられます。
質問の回答としては
1)QTc0.5以下のようですので、延長の程度は軽度と判断され、スポーツを含めて通常の日常生活でよいと思います。症状がなければ、1年1回程度の心電図検査で様子を見てください。
2)前述したSchwarzの基準でQT延長症候群と診断したものと思われます。心電図所見を確認しないと断定はできませんが、確定診断というより、可能性が高いか、中程度か、低いかの診断ということになります。
3)もし娘さんが先天性QT延長症候群だとすれば、血縁の方も同じ遺伝子異常を有する可能性が高いと考えられます。ご家族も、念のため心電図検査を受け、QTcの延長がないか確認されることをお勧めします。

2013年5月27日

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