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70歳の僧帽弁閉鎖不全、機械弁か生体弁か

70歳 女性
2005年2月26日

70歳の母は、僧帽弁を閉じる筋肉が伸びてしまい、閉鎖不全を起こしていたため、心不全で入院しました。カテーテル検査で血管の障害はないと診断。形成ではなく機械弁への置換を薦められています。持病としてサルコイドーシスがあります。今回の核医学検査により心サルコイドーシスが出ているとの診断を受けた。こちらのセカンドオピニオンを参考にすると、生体弁と機械弁のどちらにするか考える年齢かと思います。病院の先生は、生体弁は10年しか持たないからと、最初からまったく眼中にないようです。
別の心臓血管外科で有名な病院にかかった70代後半の友人の家族は、逆に最初から生体弁しか考慮されなかったそうで、実際そちらの置換を受けました。
その後のワーファリン服用のことなど、本人は心の中では生体弁のほうがいい、と思っているようです。家族も薬の飲み忘れ、頻繁な通院の必要性など、生活していく上では生体弁がいいとは思います。
どちらの弁を使うか、病院の施術の実績、経験などで考え方が違うことがあるのでしょうか?この状況ではやはり機械弁は妥当なのでしょうか?

回答

お母様の病気についてお答えします。
ご指摘のように70歳を過ぎた方の弁置換の場合には、生体弁をお勧めするのが一般的です。しかし、これはあくまでもそれから後の生活の状態によると思います。また、生体弁の寿命は大体10年くらいと言われていますが、これは現在既に10年を経過している生体弁についての話で、その後も生体弁にはいろいろな進歩が見られますので、現在使われている生体弁が10年以上持つ可能性も有り得ます。
したがって、これから先、次第に頻繁な通院も困難になり、薬の飲み忘れなども起こることから考えると、生体弁を選択される方が多いのです。しかし一方、80歳になってもまだまだ元気で活躍されるような方であれば、機械弁のほうが薦められるわけです。それらのことは医者が決めるというよりもむしろご本人や、周囲の方が10年先の生活や環境を考えてお決めになるのが良いと思います。
ご本人が心臓にサルコイドーシスが出ているという診断を受けられたとのことですが、これに対する一般的な治療法は、ステロイドの投与ということになります。これが生体弁に対してどのような影響があるかについては現在のところ不明ですが、機械弁に対しては影響がないと言えると思います。生体弁に対して影響があるとしても決して著しいものであるとは思えませんが、このことが今かかっておられる病院での弁選択の条件の一つになっているかもしれません。このことを考えますと、今お話の内容だけで即断するよりも、お話の中に出ております心臓血管外科で有名な病院に、もう一度心サルコイドーシスに関する資料も持参されて、資料を全て見た上でのセカンドオピニオンをお聞きになっては如何でしょうか。

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