疾患別解説

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QT延長症候群と運動制限

15歳 男性
2014年1月31日
QT延長症候群と診断され、運動が厳しく制限されたプリントをもらいました。これでは学校の体育の授業もできません。QT時間がぎりぎりなこともあり、主治医から運動負荷試験を行い、その結果で可能な運動の範囲が拡がるかもしれないとのことです。
しかし、運動負荷試験にはリスクもありそうで、迷っています。
もし、運動負荷によって、不整脈がおきたら、これからは運動負荷をする前よりも不整脈がおきやすくなるのでしょうか。
ちなみに今まで1度も不整脈になり、倒れたことはありません。
今まではサッカー、水泳、スキーなどのスポーツもしていました。

回答

 QT延長症候群に関して担当医からいろいろと詳細な説明は受けていると思いますが、以下に一般的な考え方を記します。参考にしてください。
 
1)先天性QT延長症候群はほとんどが遺伝子異常によって起こるもので、多くは子供の時に失神発作を契機に診断されます。
2)本当に先天性QT延長症候群だとすれば、両親や兄弟に失神発作や突然死があったり、心電図に同様のQT延長が見られるのが一般的ですので、ぜひ遺伝子診断を受けてください。遺伝子に異常がなければ、先天性でない可能性が高いからです。
3)先天性QT延長症候群は現在13のタイプに分けられ、それぞれ原因遺伝子が特定されています。ほとんどがLQT1,LQT2,LQT3の三つのタイプで、日本人の場合この三つのタイプで全体の90%以上を占めるとされています。LQT1が40%、LQT2が40%、LQT3が10%程度を占め、残りはきわめて珍しいものです。
4)特に男子で小児期に発症するのはLQT1が多く、このタイプでは急激な運動によって重症不整脈が起こるとされ、ベータ遮断薬というお薬を一生服用する他、強い運動を制限する必要もあります。LQT2も小児期に発症しますが、運動よりも夜間の目覚まし時計の音などが誘因になることが知られています。
5)運動負荷試験は、専門医のいる病院で心電図監視や除細動器の設置など直ぐに対処できる状態で行う必要がありますが、特にリスクの高い試験ではなく、また運動負荷試験を行ったからといって、その後に不整脈が起こりやすくなる
ことはありません。
6)いろいろと心配するよりも、まず遺伝子診断を行い、本当に先天性QT延長症候群なのか、もしそうだとしたらどのタイプかを診断することが重要です。
7)今後長期間の生活に大きく関わることですので、担当医とよく相談して進めてください。

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