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高血圧 Question 15

高血圧の治療にARBやカルシウム拮抗薬を最初に使っています。「どちらを先にすべきである」という考え方はありますか

日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2014では、合併症のない高血圧に対しての第一選択薬として、Ca拮抗薬(特に長時間作用型)、ARBもしくはACE阻害薬、利尿薬を同等に推奨しています。

そのうえで、それぞれの薬剤の積極的な適応となる疾患群、あるいは禁忌・慎重に使用すべき病態や合併症を提示しています。具体的にはCa拮抗薬をより積極的に考慮すべき病態として、狭心症(特に冠攣縮性狭心症)や左室肥大症例、蛋白尿を伴わない慢性腎臓病、脳血管障害慢性期などを挙げています。ARBについては、それらに加えて、心筋梗塞後や心不全症例、蛋白尿を伴う慢性腎臓病、糖尿病やメタボリック症候群を積極的な適応として挙げています。

また女性の高血圧の項において妊娠20週以降に使用可能な降圧薬の一つとしてCa拮抗薬のニフェジピンを挙げています。一方で注意すべき点として、Ca拮抗薬の場合には非ジヒドロピリジン系であれば徐脈、ARBであれば腎機能悪化や高K血症などが挙げられています。

降圧薬の選択にあたってはこれらの事項を総合的に考えて選択すべきものと思われます。ただし、降圧薬の処方をする際に忘れてはいけないのは、どの薬剤を処方するにせよ、ただ処方しておけばよいというものではなく、目標血圧まで十分に降圧することが重要であるということでしょう。
 

(2014年10月公開)

Only One Message

降圧薬の選択にあたっては、それぞれに薬剤の「積極的な適応」を踏まえたうえで、十分な降圧を図ることが重要である。

回答:肥後 太基

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