慢性心不全の生活管理?食事と入浴?
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慢性心不全は生活管理が大切
心不全とは、あらゆる心臓病の最後に出てくる症状であり、心臓のポンプ機能が低下して全身に必要な血液量が送れない状態をいいます。心不全の患者さんは薬物療法などに加えて日常生活の管理がとくに重要になってきます。軽症の慢性心不全(中等度以上の労作で動悸・息切れなどの症状が出る)では、日常生活上どんな注意が必要か、とくに食事と入浴を中心に紹介しましょう。 |
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食事では塩分摂取の制限が大事です。日本人の平均的な食塩摂取量は一日十二?といわれていますが、軽症の慢性心不全では一日七?程度に制限します。塩分の成分であるナトリウムは、水を体に呼び込む性質があり、食塩を多く摂取すると循環血液量が増加して心臓に負担がかかるからです。ナトリウム一分子に対して水二〇分子を引きつけるといわれています。 塩分は食物にすでに含まれています。パンやうどんといった加工食品にも相当量含まれているので、知っておきましょう。食塩の使い方の工夫として、食べるものに少々振りかけるほうが、塩味を感じやすく少量の摂取量ですみます。煮物など調理中に使った場合、あまり塩気を感じずに摂取量が多くなることがあるため、注意してください。 また食塩(ナトリウム)は血管を収縮させる作用があります。逆にカリウムは、ナトリウムの血管収縮作用を抑制する作用がありますので、腎臓疾患がなければ、カリウムを多く含んだリンゴやブドウなどの果物やレタスなど生野菜を多く食べましょう。
過剰な体液の増加を防ぐため、水分を必要以上に摂らないことも大切です。心不全の患者さんは、脳が過剰に水分不足を感じて、渇きを強く感じたり、塩気を求める傾向がありますので、水分を摂りすぎないように気をつけましょう。 |
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入浴は体の血管が拡張して心臓が楽になり、リラックスもできるので、慢性心不全の患者さんにもおすすめできます。しかし、冬場の入浴や熱い湯などは心臓に負担をかけて、心事故を起こす原因にもなりますので、十分な注意が必要です。 軽症慢性心不全の患者さんの入浴では、和式の浴槽(坐位入浴)を使用した場合、四〇度の微温に調節し、四十二?四十三度にはあげないことが大切です。水量は坐位入浴で胸の高さまでとし、入浴時間は三分間以内というのが推奨できる入浴法です。和式の浴槽は湯量が多いので、首までお湯に浸かると静水圧がかかり心臓の負担になります。また、高温も体の負担になります。 入浴時は浴室全体を温めておき、洗い場との温度差をできるだけ少なくしておくことも事故を防ぐために大切です。 |
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日本心臓財団より |
日本心臓財団は、わが国三大死因のうちの心臓病と脳卒中の制圧を目指して、1970年に発足いたしました。
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