平成18年4月より心房中隔欠損症のカテーテル治療が保険診療として認可されました.これによって育成医療や更生医療をつかった診療も可能となりました.この治療で使われる閉鎖栓はアンプラッツアー・セプタル・オクルーダーと呼ばれ,形状記憶合金(ニチノール)の細い線から作られています.図のように真ん中の部分がくびれた形をしており,両側の広がった部分(ディスク)とくびれた部分(ウエスト)には特殊な布(ダクロン)が縫い付けられています.この布は心臓の手術の時に利用されるものと同じ成分です.このくびれた部分を心臓の欠損孔の部分に合わせるように入れて、左右の広がった部分で穴の両側から挟みこんで閉鎖します.
海外では欧米を中心に数万例を超える留置実績があり,安全性の高い優れた治療成績が報告されています.実際の治療は,閉鎖栓を心臓内に正確に留置するため全身麻酔下にエックス線や経食道心エコー(胃カメラのような管にエコーの機能がついた装置)などのモニターを用いて実施します.すべての心房中隔欠損症が治療可能というわけではありません.欠損孔が大きすぎる場合には閉鎖栓を留置できませんし,心房中隔の端に偏った欠損孔では閉鎖栓を安定して留置するのが難しくなります.理論上直径38mmまでの欠損孔は閉鎖可能ですが,実際には30mmを超えるような欠損孔では留置が難しくなってきます.
この治療が可能かどうかは専門的な判断が必要ですので,実際の治療実施している施設もしくは専門の医師にご相談ください.いったん留置された閉鎖栓は数ヶ月で自分の心臓の膜に覆われます.それまでの期間は閉鎖栓に血液の塊が付かないように,アスピリンという薬を6ヶ月間服用します.
現在治療を実施している施設は国立循環器病センター,埼玉医科大学,岡山大学の3ヶ所ですが,実施基準を満たした施設では順次治療が開始される予定です.今年度中に開始を予定している施設は,千葉県こども病院,榊原記念病院(東京都),神奈川県立こども医療センター,静岡こども病院,長野こども病院,中京病院(愛知県),聖マリア病院(福岡県)です.
赤木禎治 岡山大学医学部歯学部附属病院 循環器疾患治療部 助教授
参照
■岡山大学医学部歯学総合研究科心臓血管外科「心房中隔カテーテル治療について」
■心房中隔欠損症のカテーテル治療(セントジュードメディカルホームページより)