1−3 心房細動財団法人日本心臓財団

 

心房細動のアブレーション治療

2003年3月2日・1734J

52歳、男性:発作性心房細動

相談内容

5年前から期外収縮で脈の結滞を感じるようになり、そのうち就寝中に胸の圧迫感と息苦しさで目を覚ますと脈拍が乱れ不規則に打っている状態が出て、正常に戻るまで数時間掛かりました。
近くの病院で診察を受け、検査の結果、心房細動の発作で脈がバラバラ打っているため息苦しいとのこと。しばらく抗不整脈剤で様子を見るとのことでした。
最初の2年間くらいは、2、3ヶ月に一回程度、仕事の疲れたとき、ストレスが溜まったときに心房細動の発作が起き、点滴等で除細動していました。最初の2年間に服用していた薬は、シベノール、ジゴシン、ワーファリン、デパス等を飲んでいました。調子のよいときは5ヶ月間発作が起きないときもありました。
その後引越しがあり病院が変わり、3年目位から発作の頻度が1,2ヶ月に1回程度に進みました。
抗不整脈剤もサンリズム、アスペノン、プロノン、アンカロン、その他、を変えながら服用していましたが、あまり効果は見られず、発作のたびに点滴による除細動をうけていました。先生も相当頑固な不整脈だとおっしゃっていました。
最近は発作の頻度も間隔が狭くなり、1ヶ月に1回になり、ここ数ヶ月は1月に5,6回も起きるようになり、就寝中に起きることが多かった発作も、朝や、仕事中、夕方とちょっとした拍子にすぐ発作が起きるようになり、仕事や休日もいつ起きるかと不安で仕方ありません。
また、血栓による血管詰まりも心配です。
最近、発作性心房細動をカテーテルアブレーションできる病院もあり、成果が出ていると聞いております。根治治療のため、うけてみたいと思いますが、どのような治療でしょうか。

回答

発作性心房細動を惹起する心房性期外収縮の多くは肺静脈内に迷入した心房細動から起こることが近年、明らかになり、カテーテル焼灼術にて、肺静脈と左房間の心房筋の伝導を絶つこと(電気的肺静脈隔離)で心房細動の発症を防ぐことができることがわかってきました。
日本においてもその治療は開始されており、薬剤抵抗性心房細動がその対象になります。
肺静脈は4本あり、そのすべてに対して電気的隔離術を施行すること、そして右房から左房内へカテーテルを挿入するために心房中隔穿刺を施行しなくてはいけないことなどより手技時間は3−4時間程度と長くなります。
成功率に関しては50−80%であります。ただ術後心房細動が再発した症例においても、術前に無効であった抗不整脈剤が有効となることが多くなるため、たとえ再発しても薬剤の併用により心房細動の発症は抑えることができることが多いのです。しかしながら、10%程度の人には無効です。
また、合併症の可能性もあります。手技の合併症は、稀ではありますが、心房中隔穿刺をするための造影検査に伴う造影剤アレルギー・ショック、心臓穿破による血圧低下、死亡、ならびに心血管内でカテーテル操作をするため時として起こる脳梗塞などがあげられています(ただし、これは通常の心臓カテーテル検査にも起こり得るものです)。
電気的肺静脈隔離術後の特有の合併症としては、肺静脈焼灼後の慢性期の肺静脈狭窄が挙げられています。したがって、治療後はその有無について外来で検査することもあります。ただし、肺静脈狭窄の程度は通常は軽く、重症となることは稀です。