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疾患別解説

川崎病既往者のその後の合併症

日本心臓財団に寄せられたご相談

num.7636

24歳、 女性: 川崎病、冠動脈狭窄、心房細動

9ヵ月で川崎病に罹患しました。最近、意識消失で救急搬送され安静時心電図をとった時に心房細動があると言われました。また心エコー検査で冠動脈狭窄、弁膜の閉鎖不全があるとのことでした。川崎病の後遺症でこんなに複数の疾患を合併するものでしょうか。造影剤アレルギーがあるのですが、精査のためのよい検査法はありますでしょうか。
日本心臓財団からの回答
ご心配されることは良く理解できます。
  まず川崎病の一般的な経過についてお話しします。
川崎病は主に6カ月から6歳くらいのお子さんがかかる原因不明の病気です。川崎富作先生が1967年に新しい病気であると発表したので、世界でも川崎病と呼ばれます。現在は年間1万4千人くらいの子どもがかかり、その数は現在も増加中です。川崎病の場合、基本的には心臓を養う冠動脈を中心に血管に炎症が起こり、冠動脈がこぶ状に膨らむ冠動脈瘤を作ります。20年前ならば約40%の患者さんに冠動脈瘤が起こり、軽く膨らむ拡大程度の方が30%、はっきりこぶ状になる冠動脈瘤が約10%、最重症の巨大冠動脈瘤(内径が8mm以上)が1%といわれております。
  最重症の巨大瘤の方は、冠動脈瘤が破けたり、瘤の中に血の塊の血栓ができるために急性心筋梗塞を起こして亡くなることもあります。最近は急性期の治療法が大変良くなり、冠動脈瘤ができる方は10%前後に減っております。
  冠動脈瘤が、1カ月以後に後遺症として残った場合は、血栓ができないようにするアスピリンや、巨大冠動脈瘤の方にはワーファリンを投与して、自然に治るのを待ちます。しかし急性期に内径が6mm以上になった場合は治りが悪く、急性心筋梗塞を起こしたり、冠動脈が狭くなって冠動脈狭窄が起こります。冠動脈狭窄はエコー検査では見つけることはできず、冠動脈造影などをしない限り正確な診断は不可能です。ただし、現在は心臓の冠動脈のCT検査や、同じく超音波を使用したMRI検査、核医学のアイソトープを使用した虚血の検査もできるようになりました。
 
 また、急性期には冠動脈瘤以外に、僧帽弁の逆流も多くの方に起こりますが、多くは症状も無く、1カ月以内に自然に治ります。ただしまれには、僧帽弁が切れたりして後遺症として残ることもあります。その場合、程度が強い時には、強心剤が必要になったり、手術で治すことが必要なこともまれにあります。ただし、大動脈弁にも狭窄が起こることは、絶対ないとは言えませんが、一般にはありませんので、別の病気(体質)の可能性も十分にあります。
 
 次に、不整脈ですが、川崎病急性期に少し出る方はありますが、後遺症として問題になる方は極めて少ないです。しかし、冠動脈狭窄により心臓の血流が少なくなり、心臓の筋肉が虚血状態になれば、起こりえます。すなわち、心臓の脈をコントロールする部分(ペースメーカーといわれる場所)に虚血が出たり、弱った心臓の部分が異常に興奮したりすると不整脈も起こることがあります。
 
  以上を総合しますと、急性期からある巨大冠動脈瘤により、現在あるいろいろな合併症が出た可能性が強いのですが、川崎病以外の原因で不整脈などが年齢とともに出ることもあるので、その可能性も否定できません。
 
  患者さんご自身として、急性期からの病状、すなわち川崎病急性期の冠動脈瘤の大きさ、僧帽弁逆流がどの程度であったかなどを知っておく必要があります。ぜひ、現在治療中の病院の主治医に、確かめてください。

2012年7月20日

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