疾患別解説

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大動脈弁狭窄、動脈拡大、冠動脈狭窄の同時手術のリスクと予後

68歳 男性
2006年12月26日

68歳の父について相談いたします。大動脈弁狭窄にてカテーテル検査を実施したところ、冠動脈狭窄、上行大動脈拡大が判明いたしました。人工心肺を使用し、人工弁置換・左内胸動脈を使用した冠動脈バイパス手術・上行大動脈人工血管置換もしくは縫縮術を実施する予定です。
1)このように3つを同時に手術することは、よくあることなのでしょうか。
2)調べたところ、それぞれのリスクは成功率が95%程度のようですが、同時に行うと、どの程度リスクがあがるものなのでしょうか。
3)また、手術に6時間ほどかかると言われました。人工心肺を長時間使った時に、脳梗塞になる可能性は高くなりますか。
4)冠動脈バイパス手術・上行大動脈人工血管置換を総合的に考えて、生体弁・機械弁どちらがよいとかはありますか。
5)父は昔から心臓肥大と言われていたようです。心臓肥大と今回の手術は関係ありますか。
6)術後、何らかの後遺症は考えられますか。

回答

1)左心室と大動脈の圧較差と大動脈拡大の程度から、双方とも手術治療が望ましいと思われます。冠動脈病変もギリギリのところであり、開胸手術するならば、その折に一緒に手術しておくことが勧められます。したがって、3者とも手術治療の対象ということになります。この3つはよく合併するので、3つを一度に手術するというのはよく行われていることであり、珍しいことではありません。
2)リスクは当然、大きくなりますが、開胸手術に伴うリスクは共通のことですので、ひとつ一つについて、倍増するわけではありません。実際のリスクは手術施設あるいはチームによって異なりますので、担当医によくお尋ねになってください。
3)人工心肺の使用時間が長くなるときに、問題になるのは、脳や心臓などの臓器機能の回復が遅れることです。この危険性は時間が長くなるほど、大きくなります。
4)高齢者では生体弁を使用することが多いのですが、手術操作の上からは機械弁が勧められるものと思われます。これは担当医におききになってください。
5)心臓肥大とは大動脈弁狭窄のために起こった左心室肥大のことと思われます。弁の狭窄があって、血液駆出の妨げになっているために、心室壁の肥大が起こってくるのです。
6)後遺症は一つには上記の脳や心臓の臓器機能の回復が遅れるときに、生じます。また、高齢者では手術後の安静期間が長くなったとき、手足の筋力が衰えて、日常生活に不自由を生じる場合もあります。



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