5−5 心不全公益財団法人日本心臓財団

 

慢性心不全の生活上の注意

2003年10月2日・2203S

63歳、女性:心不全・心房細動

相談内容

2ヶ月前、元気だった母は、突然胸部不快・呼吸苦に襲われ、近くの総合病院に救急入院しました。
胸部レントゲンにて、心拡大、肺うっ血が認められたため急性心不全と診断されました。
利尿剤・強心剤の投与により症状が軽快した後、原因究明のため、心臓カテーテル検査(冠動脈、冠静脈)を受けましたが、狭窄部はみとめられず、胸部レントゲンや心臓エコーの結果も悪くないとのこと。また、甲状腺機能検査の結果も、抗体は認められるものの特に異常はないとのことでした。
本人の自覚症状はなかったようですが、もともと慢性心不全・心房細動があるところに、急性心不全を誘発するような要因が起きたのではないかとの診断。ウィルスによる心筋炎の可能性もあるとのこと。
また、若い頃より不整脈がありますが、特に自覚症状はありません。これについては、悪いものではないので、このままで大丈夫だという診断です。

薬は、緊急入院から心臓カテーテル検査を受けるまでは、ディオバンの代わりにシグマート5mgを服用。
現在は、バイアスピリン100mg、アーチスト1.25mg、ラニラピッド0.05mg、ラシックス40mg、ディオバン80mgをそれぞれ1日1回服用。軽い糖尿があるためベイスン0.3mgを1日3回服用。

原因は解明されぬまま、「慢性心不全・心房細動」という総合病院の主治医の診断で、現在も利尿剤、強心薬を服用しています。主治医は、薬はこの先もずっと飲み続ける必要があるだろうという見解ですが、症状が軽減しても薬は飲み続ける必要があるのでしょうか?

心配なのは、再発するのではないかと思われることと、この2ヶ月で体重が急激に6、7kg落ちていることです。
他に急性心不全の原因として考えられる要因はあるのでしょうか?
また、緊急入院した総合病院に2週間に1度のペースで通っていますが、症状的に循環器専門機関に行った方がよいのでしょうか?
また、「慢性心不全・心房細動」と診断された場合、どのようなことに注意しながら生活すればよいのでしょうか?

回答

まず、慢性心不全についてご理解ください。これは心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症などのように個々の心臓の病名を言うのではなく、頭痛、胸痛、動悸、呼吸困難など病気の症状を示すもので、病気がすすむにつれて、これらの症状に加えて、心肥大、動悸、息切れ、むくみ、肝腫大など一連の症状が加わって、セットになって現れてくる場合、それらをまとめて心不全と呼んでいます。
症状が急に現れてきて、重症化するのを急性心不全といい、一方、慢性的に徐々に進行するのを慢性心不全と呼んでおります。
心房細動では心房の筋肉が小刻みに、1分間約300拍以上に波打ち、心臓全体としてまとまった拍動とならず、不規則な拍動となり、ポンプとしての動きが失われ、心臓の機能が低下し、心不全の傾向となるのをいいます。
それでは慢性心不全に心房細動が合併するとどうなるかといいますと、心不全がさらに増悪し、急性心不全が悪化する傾向となります。ちなみに心不全の急性化、悪化は頻脈、徐脈、不整脈、発熱、貧血、甲状腺機能亢進、感染症などで誘発されます。
基礎心疾患が軽ければ臨床症状改善とともに投薬の必要性はなくなるわけですが、通常、心疾患は完治することは少ないのです。これにかぶせて起こる心不全は再発を繰り返す可能性があるので、薬剤の服用を繰り返し連用し、病気の予防や再発を行う必要が出てきます。このためには心臓病の患者は日常生活の節制、過度の運動を避け、食塩摂取の制限、利尿薬、強心薬の服用を行います。薬物の連用による副作用の可能性については、副作用の発生を未然に防ぐために時々定期的に検査をして貰って下さい。
心房細動では心臓の壁の動きが悪くなり、血流が停滞するので、血液が凝りやすく、血栓が出来、その一部が剥がれて、臓器の血管を詰め、脳梗塞、心筋梗塞、腎梗塞をつくる危険性があります。したがって、血液をサラサラにさせて、血液を固まりにくくしておかなければなりません。アスピリンやワーファリンなどの抗凝固剤の連用が必要となりましょう。また、出来れば心房細動をとり、整脈に戻す治療が必要となりましょう。
若い頃からあったという不整脈はどんな種類のものでしょうか。循環器専門医によくご相談ください。
循環器専門医については、場合によってしょっちゅう診て貰う必要は必ずしもありません。時には、年に一回位の通院で精査を繰り返し、結果を近医に通告して貰い、薬剤は近医あるいは薬局で調剤して貰うとよいでしょう。こういうことによって長期に渡る能率的かつ有効な慢性心不全の治療が行えると思います。