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疾患別解説

リウマチ性僧帽弁膜症に対するPTMC

日本心臓財団に寄せられたご相談

num.5726

54歳、 女性: リウマチ性僧帽弁狭窄症

リウマチ性僧帽弁狭窄症および閉鎖不全症(弁口面積1平方センチメートルの狭窄症が主体で逆流は軽度)で、心房細動と軽度の大動脈弁膜症があります。主治医から井上バルーンによるPTMCをすすめられていますが、別の医師から「合併症の危険、再狭窄の発症があり、PTMCは意味がない」と言われ迷っています。私としては、いずれ開胸手術をすることになるにしろ、数年でも先になるのなら、まずPTMCをと考えていたのですが、弁置換手術のほうが確実だということでしょうか。心房細動が治るわけではないのでQOL(運動制限)は改善しないのでしょうか。逆流が強まる可能性についても非常に不安です。

日本心臓財団からの回答

リウマチ性僧帽弁膜症で軽い大動脈弁膜症があり、僧帽弁膜症は狭窄症(弁口面積1平方センチメートル)が主体で逆流は軽度と診断されている、また心房細動があり、運動制限がある状態(急ぐ、あるいは階段、坂道で息切れがするなど)だと理解しました。この弁口面積だと狭窄症としては中等度で、症状があって当然の状態だと思います。薬による薬物治療が充分で、それにもかかわらず症状が残っているのなら、侵襲的な治療法を考えるか、日常生活を制限するかを選ぶことになります。侵襲的方法はやはりそれなりの危険性を伴いますので、その点を了解する必要があります。100%安全という侵襲的治療はありません。
侵襲的治療でより侵襲度が低いのが井上バルーンによるPTMC(経皮的僧帽弁交連切開術)で、通常は循環器内科で行われます。より侵襲的なのが外科的人工弁置換術(MVR)です。PTMCは最近行われることが少ないのは事実ですが、それはリウマチ性弁膜症が新しく発生することはほとんどなくなったためで、現在ではリウマチ性弁膜症の最も若い方でも40代?50代でしょう。またリウマチ性僧帽弁狭窄症でPTMCを受けていない患者さんも少なく、したがって、たくさんの症例経験がある病院でも最近は年間5例?10例程度でしょう。PTMCは一時的に弁口面積が大きくなり(しかし正常までは大きくならず、軽症の狭窄症程度になるだけです)、症状も改善しますが、多くは5年?15年で元へ戻ってしまいます。再度狭窄した場合は外科的なMVRとなります。しかしPTMCの死亡率は1%以下なのに対し、MVRのそれは3%?5%を覚悟しないといけないので、まずPTMCを行い、拡張効果が不十分、あるいは運悪く僧帽弁逆流が重症になってしまう(稀には起こりえます)、あるいはPTMC後に再狭窄がきたらMVRを行うのが一般的です。MVRを行えば僧帽弁の機能は完全に正常になりますので、思い切って最初からMVRという選択を好む患者さんもいます。どちらが良いとは言えません。
QOLがどのくらい改善するかは、現在の症状の程度、心房細動の程度、今後の生活内容などによりますから、主治医とよく相談する必要があります。日常生活に支障を来している程度にQOLが制限されているのなら、54歳という年齢を考えると、PTMC後に再狭窄となってもまだ充分MVRに耐えられる年齢なので、とりあえずPTMCを行うのがよいのでは、と思いますがどうでしょうか。4、5日の入院で済むと思います。ただしPTMCにしてもMVRにしても、手術で症状は改善しますが、ワーファリンやジゴキシンは飲み続ける必要があります。

2008年5月23日

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