疾患別解説

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僧帽弁逸脱の手術適応

62歳 男性
2004年7月 7日

5年前はエコーの雑音を確認したものの、治療等はなく経過観察。昨年12月と今年6月に大学病院で検査を受けた結果、僧帽弁後尖逸脱と診断されました。2回の検査結果として、左心房径:46→47mm、左心室径:46→51mm、逆流の程度:2度→3度。
先生のお話では、少しずつ進行している印象があり、現状維持できるかどうかわからない。悪くなってから弁の手術を受けるより、早い段階でしたほうが良いとのことでした。
手術を受けるべきでしょうか、また受けるならその時期をどう判断すべきでしょうか。
現在、ラシックスとアルダクトンを服薬していますが、薬剤のみで維持(改善)できる可能性があるのでしょうか
また弁について、置換する必要があるかどうかは、開胸しないとまったく判断できないのでしょうか?(手術中に置換手術に変更になることがあるとは聞いています)
現在、日常生活に支障はありませんが、階段を上ったり急な動作をすると胸が苦しくなります。一方で、ゴルフコースを回っていてもまったくしんどくありません。今のところ活動制限はありません。

回答

心エコー図で僧帽弁逸脱と診断され、それが少しずつ進行しているようなので早い時期に手術をしたほうがよいといわれた由で、手術をすべきか否かのご相談と了解いたします。
今の段階で手術をすべきか否かという判断は甚だ微妙な境目の問題だと思います。医者でも人によって意見の分かれるところであり、手術に対して積極的な考えの人は手術をすべきであるというでしょうし、比較的保守的な考えの人はもう少し先でもよいのではという意見をもつだろうと思います。
検査をされた先生は2回の検査の結果を進行していると判断されているのでしょうが、第三者の立場でこの数字だけを見る場合、確かに左心房径は大きいですが、左心房径46→47mm、左心室径46→51mmというそれぞれ1mm、2mmの差は読影上の誤差の範囲と見るべきであり、逆流の程度が2度から3度といっても2度と3度の境界はたぶんに主観の入る余地があります。というふうに考えますと過去半年間の「進行」というのが客観的にははっきりつかめません。
投薬のみで改善するものではなく70歳までにはいずれ手術は不可避だと思いますが、差し当たっては階段や急な動作時の胸苦しさの程度や、今後の不整脈の出現などに気をつけながら、手術に関してはまだあと1、2年はこれまで通りの生活で様子を見てもよいのではないかという気が致します。
また弁については開胸してみないと判断できないということもありますが、一般的にいいますと、よほど重症の場合は弁の置換になりますが、多くの例は弁の修復で済むものです。

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