疾患別解説

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僧帽弁閉鎖不全症の手術時期

61歳 男性
2004年6月25日

平成14年10月に風邪でかかりつけ医に受診した際、「聴診器に雑音が聞こえる」といわれ「血液が逆流している、僧帽弁閉鎖不全だろう」と言われましたが、その頃、自覚症状は何も感じませんでした。
血圧は若干高め(95/140位)で、ジギトキシン錠、ディオバン錠を処方され、現在も服用中です。(血圧:現在72/136位)
専門医を紹介され、超音波検査で、逆流の確認をされ、「1年毎の検査と経過を見ることでよい」と言われ都合2回受診。
今年4月頃、合計3回不整脈(3?10回に1回抜ける)が半日くらい続き、かかりつけ医から頓服として、サンリズムカプセルを処方してもらい各2回服用。かつ半年くらい前より走ることで脈がすぐに速くなり平常に戻るのが遅くなるような気がしました。そこで、外科医より、「弁交換(or修復)の手術は早いほうが良いだろう。それを前提にカテーテル検査は早急にしよう」といわれ、迷っています。
現在は、日常生活は普通で、趣味のソフトボールは週1回2時間行っておりますが、走ると疲れるので、ピーク時の半分くらいの運動量です。酒タバコはまったくとっていません。
以上のような現状ですが、手術をしたほうがよいのでしょうか。手術の目安・時期(タイミング)・その他、ご教示ください。

回答

僧帽弁閉鎖不全は僧帽弁膜に構造的な不具合を生じ、収縮期に左室から左房に向けて血液の逆流を生じ、血液の流れの効率が悪くなり、心臓に対する負担が増し、やがては心不全や不整脈あるいは心臓の破錠を起こしてきます。多くは慢性の病気ですが急性に経過するものもあります。心臓は機能を正常に代償するために次第に肥大や拡張を起こし、機能の低下を防ぎます。
この病気の治療はまず安静、次に薬物療法が主となりますが、それで十分でないときには外科的治療を考えるのが普通です。
心臓手術を考えるに当たっては病状を正確に把握し、詳細な診断が大切です。僧帽弁閉鎖不全は単純な弁膜障害だけでなく、その他の腱索や乳頭筋などが含まれることもありますので原因診断が重要です。また手術時期の的確な判断が必要です。
病気が進行していて心不全の兆候があれば、直ちに内科的薬物療法を行います。心不全の予防にはレニン・アンジオテンシン阻害薬を用いるので有用と考えられております。
心房細動が合併したときには、出来れば心房細動を停止させると同時に抗凝固薬の服用が重要です。
非リウマチ性僧帽弁閉鎖不全で弁膜障害の軽いものでは弁形成術でよいのですが、大部分では人工弁による弁置換術を行います。
なお、術後は血栓予防、感染症の予防などの治療を続けていく必要があります。また、術後の心機能観察を続けていく必要でしょう。

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