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疾患別解説

卵円孔開存と脳梗塞との関係

日本心臓財団に寄せられたご相談

卵円孔開存と脳梗塞との関係について教えてください。
日本心臓財団からの回答

1)卵円孔開存は、脳梗塞の原因になるのでしょうか。

卵円孔は、左右の心房の間の壁(心房中隔)の中央に開いている孔です。母親の胎内にいる間は肺呼吸をしていないため、10ミリ程度に開いているこの孔を通って血液が循環していますが、生後は閉じます。これが閉じずに残る場合があり、卵円孔開存となります。これはかなり頻度が高い(約20%)のですが、症状もなく、通常は問題になりません。
しかし、卵円孔開存が脳梗塞や一過性脳虚血発作のまれな原因となりうるといわれています。卵円孔開存があると、足などの静脈にできた血栓が卵円孔を通って右心房から左心房、さらに動脈系に流れ出て、それが脳の動脈に詰まれば脳梗塞を起こすためです。“奇異性脳塞栓症”とよばれています。
ただし卵円孔開存自体の頻度は比較的高いので、必ずしも卵円孔開存があるからといって、それが脳梗塞や一過性脳虚血発作の原因であったと決めつけるのは容易ではありません。とくに高齢の方では、卵円孔開存が証明された脳梗塞患者の約半数では因果関係がなく、偶然の合併であったという外国の報告もあります。
なお、経食道エコーで“心房中隔瘤”(心房中隔が左心房側にこぶ状に突出している状態)を合併すると卵円孔を介しての脳梗塞のリスクは高くなるといわれています。

2)卵円孔開存を治療すれば、脳梗塞は防ぐことができますか。

カテーテル治療によって卵円孔をふさぐことは可能で、わが国でも最近行われるようになっています。心房中隔欠損(ASD)という先天性心疾患の治療に用いるのと同じ器具(Amplatzerステント)を用い、孔をふさぎます。ただし、このようなカテーテル治療によって、確実に脳卒中や一過性脳虚血発作を予防できるかどうかについては結論が出ていません。2010年の米国心臓協会学術集会で発表された無作為臨床試験CLOSURE I では内科治療とカテーテル治療群でその後2年間の観察期間中には脳卒中または一過性脳虚血発作の発生率に差がないという結果でした。ですから、卵円孔開存の閉鎖手術は、卵円孔開存を介して右心房から左心房に相当量の血液が流れ込んでいる場合(シャントがある場合)以外は、あまり勧められません。
手術費用は通常200~300万円程度でそのうち個人負担は保険の種類によって10~30%になりますが、高額医療の対象になれば、相当額の還付があります。

3)薬物治療にはどのようなものがありますか。

薬物療法はおもに血栓による脳梗塞発症の予防を目的としたものです。抗凝固薬であるワーファリン抗血小板薬であるバイアスピリンなどを用いる場合がありますが、いずれも、血栓を予防すると同時に出血による合併症のリスクも有する“両刃の剣”となりますので、出血による有害事象をゼロにすることは困難です。
ですから、このような薬は脳梗塞の予防効果(つまり飲むことによるメリット)が出血などの副作用のリスクを上回ると判断される場合にだけ用いることになります。

百村伸一 自治医科大学さいたま医療センター第1総合医学教授
山口敦司 自治医科大学さいたま医療センター心血管外科准教授

(2011年11月作成)

2013年4月10日

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