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疾患別解説

ファロー四徴症手術を受けた20年後の肺動脈弁閉鎖不全

日本心臓財団に寄せられたご相談

num.6851

22歳、 女性: ファロー四徴症

1歳半のときにファロー四徴症の根治手術を受け、その後はずっと年1度の健診のみでした。しかし、MRIを受けた結果、右心室が肥大していて通常よりも1.7倍の大きさであると言われました。エコーでも逆流がみられるため、肺動脈弁がしっかり機能していないので人工弁かなにかをつける手術を5年以内に受けたほうがいいとのことでした。
そういわれますと、最近、走ると動悸がします。単に運動不足なのか、心臓の負担が大きいのかよくわかりません。
トレッドミル検査では走ったあとに心室性期外収縮の4連弾が出たため、より運動をしないように気をつけるよう言われました。
一方、他の大学病院で循環器を受診したときには「ただの運動不足だからもっと運動をしなさい」と言われました。
手術を受けるべきなのか、それとも体力をつけるだけでいいのでしょうか。

日本心臓財団からの回答

ファロー四徴症根治手術後の22歳の女性にお答えします。
貴方が手術を受けられた20年前には既にファロー四徴症の手術成績は全国的に良くなっており、どの施設で受けられても手術死亡率は1~2%程度にまでよくなっていたと思います。
しかし、その当時手術を受けられた方の20年後の成績をみますと、最初の手術の時に肺動脈弁にあまり配慮せずに手術をされている場合と、肺動脈弁の機能をできるだけ温存するように、あるいは再建するような形で手術を受けた方とでかなりの違いがあります。また、肺動脈弁に手を加えなくても良いような幸運な病型であった方と、どうしても肺動脈弁の機能を損なってしまうような手術方法しか取れなかったような方とで、同じファロー四徴症であっても20年後の遠隔成績はかなり違っています。
また、20年前には肺動脈弁の機能はあまり重視されておらず、多少肺動脈弁を傷つけて肺動脈弁の機能を失うような手術をしても、十分生活には耐えられるという意見が学会の中でも大勢でした。しかし20年経ってみるとそれは必ずしも正しい判断ではなかったということになります。

貴方の場合、現在肺動脈弁がどの程度機能しているかによって手術の適応は決まることになりますが、どの程度であるかを正確に判断することは、この情報だけでは判断致しかねます。ただ、右心室の大きさが通常の1.7倍というのは、決してすぐに手術を要する大きさではありません。三尖弁の機能とか、不整脈の状態とか、その他いろいろなことを総合して判断せねばなりませんが、1.7倍という値そのものは、それほど大きいとはいえないと思います。
最近では先天性心奇形の手術後の患者さんが増えたために、成人先天性心疾患だけを専門に扱っている外来も東京や大阪にはできています。機会があればそのようなところを受診されてセカンドオピニオンを聞かれるのもよいかと思います。

もう一つ情報としてお伝えしたいのは、肺動脈弁を植える、或いは肺動脈弁を取り替える手術は、現在わが国ではまだ保険が適用されていませんが、外国ではカテーテルで植え込む手術が一部で行われています。この肺動脈弁がどのくらいの期間機能し続けてくれるかといったことはまだまだわかっていませんが、もしも貴方の肺動脈弁がもう5年間今のまま維持できれば、その間にカテーテルによる肺動脈弁置換術の成績もかなり明らかになってくると思いますし、そうなれば保険も適用されると思います。したがって肺動脈弁の取替えが必要であるとしても、どの方法によって植えるか、実際にその手術が必要になった時点で主治医とよくご相談の上、お決めになるのが良いと思います。

2010年9月17日

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