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疾患別解説

心不全と心臓リハビリテーションの程度

日本心臓財団に寄せられたご相談

num.1037J

私は理学療法士をしているものですが、心不全の運動療法についてお尋ねします。
心不全はNYHAの分類などで、区別できますが、具体的にはどの程度の運動が許されるのかがよくわかりません。
心不全の患者さんで運動療法の対象になる患者さんはわかるのですが、端的にはどのくらいの運動をすればよいのでしょうか。たとえば、心拍数とかモニターなどで監視的に行う場合と、あるいは在宅で心不全の患者さんを訓練する場合があると思うのですが、数値で表されるような運動療法があるのでしょうか。

質問が混乱して申し訳ないのですが、要するに心不全の対象となる患者さんに対して具体的にはどのような運動を行えば良いのかをご教示願えればと思います。よろしくお願いいたします。
日本心臓財団からの回答

心不全の運動療法という最先端の領域についてのご質問に敬意を表します。
かつて、心臓病があると、ともすれば安静をすすめたり、無理をしないようにといった指示がでることが多かったのですが、過剰な安静はかえって身体の機能低下をもたらすことが明らかにされ、心臓リハビリテーションが積極的に行われるようになりました。

しかし、心臓リハビリテーションの要諦は「過ぎたるは及ばざるが如し」であることを十分に認識していただきたいと思います。
特に心不全ではその意味でも具体的にどの程度の運動が許されるかが、きわめて重要です。
心機能は一般的にNYHAが用いられていますが、その基準はご承知のように以下のようになっていますが、推定Metsが重要な意味を持ちます。
クラス
分類内容
推定Mets数
I
身体活動制限なし
>7
II
わずかに身体活動に制限あり
5?7
III
著しい身体活動の制限がある 
2?5
IV
無症状では身体活動が行えない
<2

註:1Mets(MetabolicEquivalents)とは、安静坐位を1として、その何倍の酸素消費量にあたるかを示します。

つまり、心不全の程度、心機能の評価をするためには、多段階運動負荷試験(トレッドミル法または自転車エルゴメータ)によって、運動能力を客観的に計測する必要があります。
循環器の専門医ならこのテストでその患者の運動能力を把握していると思いますので、お尋ねになると良いと思います。

実際の運動に伴うMets数は

毎時1?2Kmのゆっくりした歩行で
1?2 Mets
毎時3Kmのゆっくりした歩行で
2?3 Mets
毎時4Kmの普通の歩行で
3?4 Mets
毎時5Kmのやや早めの歩行で
4?5 Mets
階段を登る
6?8 Mets

ということになっています。

したがって、心機能分類4度の人は、症状がでない程度の動きが許されるだけで、運動療法の適応にはなりません。
3度の人では、2?5Metsと運動能力に幅がありますので、正確に最大酸素摂取量を測定し、その40?70%の強度の運動量を処方するとされています。
心不全に対するリハビリテーションは学会でもまだ論議のあるところで、日本心臓リハビリテーション学会の特別講演でスタンフォード大学のP.Dubach教授が「慢性心不全の運動療法:どのように、いつ、なぜおこなうか」について述べられました。「心臓リハビリテーション」第6巻、No.1,2001に掲載されていますのでご参考になさってください。

2001年10月 1日((2012年8月改訂))

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