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疾患別解説

除細動器を入れたら、大工の仕事ができなくなるか

日本心臓財団に寄せられたご相談

num.7760

55歳、 男性: ブルガダ症候群

先日、動悸が治まらないことから夜間の救急に行き、上室性頻拍と診断され、点滴で改善しました。その後の心電図検査でブルガダ症候群の疑いを指摘され、専門医の検査を受けることになりました。
その結果、電気生理検査の最初の段階で心室細動の誘発があり、先生のお話では、この段階で誘発される人は珍しく、今後心室細動が起こる可能性が高いので、すぐに除細動器を入れるべきとのことでした。
しかし、私の職業は大工であり、除細動器を入れると仕事ができなくなってしまいます。
発作を起こす可能性も1%ということらしいのですが、その1%のために除細動器を入れることに踏み切れずにいます。
実際に適応基準がどれくらいで、どの程度、危険なのでしょうか。
日本心臓財団からの回答
ブルガダ症候群と診断され、除細動器植え込み術を受けるかどうかでお悩みのようですが、記載された情報をもとに判断すると、基本的には以下のように考えられます。
1.ブルガダ症候群の治療方針に関しては、日本循環器学会からいくつかのガイドラインが示されています。
それらによれば、coved型ST上昇を示す(自然記録かサンリズム負荷試験記録かを問わず)典型的なブルガダ症候群で、電気生理検査で心室細動が誘発された場合でも、失神発作の既往あるいは明らかな家族歴がなければ、植え込み型除細動器治療の適応は「必ずしも推奨されない」とされています。
2.除細動器装着後の就労に関しては、日常の身体活動は制限する必要はないものの、高所作業に関しては十分な注意が必要とされています。しかしこれは除細動器が作動することが危険なのではなく、心室細動そのものによって失神発作が起こることが危険であるということで、むしろ除細動器がうまく作動して心室細動が治まれば危険は回避できることになります。また、最近の除細動器は初めから強い電気ショックがかかるのではなく、心室頻拍など意識のある発作の際には軽い刺激がかかり、それで治まらず意識を消失するような場合に強い電気刺激がかかるように設定することができます。したがって動悸などの症状を自覚した場合、安全な場所に移動する時間的余裕もあります。
3.上記のガイドラインはあくまで一般的な指標の一つで、各々の症例において心室細動発生のリスクをどのように判断するかは、担当医の考え方によりケースバイケースです。症例数の少ない疾患で、心室細動の自然発生頻度も高くはありませんが、万一起これば突然死もあり得ますので、経験の豊富な専門医の意見を尊重するのが最も良い解決法ではないでしょうか。

2012年12月20日

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